こんにちは!
ピー子センパイです。

どんなフードをあげていけばいいのかな?
シュウ酸カルシウム尿石は非常に厄介な尿石のため、フードの変更が非常に重要です。
その理由やおすすめのフードについて、ペット栄養管理士歴10年以上のピー子が解説させていただきます!
ピー子のペット栄養管理士証
この記事でわかること
猫のシュウ酸カルシウム尿石の治療

シュウ酸カルシウム尿石とは尿の中の「シュウ酸」と「カルシウム」が結合して石になったものです。
通常は結合して石になることはありませんが、いくつかの要因(もうすこし下で解説)が重なって結合してしまいます。
そしてシュウ酸カルシウム尿石は腎臓や尿管、膀胱、尿道という、尿の通り道のどこかにできます。
ゴツゴツした形になっていることが多いです。
シュウ酸カルシウム尿石は以下のような状況でできやすくなります。
◆シュウ酸カルシウム尿石ができやすくなる要因
- シュウ酸とカルシウムが多いものを食べている
- 太り気味である
- 水の摂取量が少ない
- 高齢の猫(7歳以上)である
- ペルシャ、バーミーズ、ヒマラヤン
- 高カルシウム血症がある
上記のうち、4~6は急に変えることができないものですが、1~3はフードの変更ですぐに管理できるものになります。
なので猫のシュウ酸カルシウム尿石の治療では「フードの変更」が非常に重要な意味を持ちます。
1~3に対応するフードを使っていけばいいということになります。
◆シュウ酸カルシウム尿石の猫が使うべきフードの条件
- シュウ酸とカルシウムが少ない。
- 太り気味であるならカロリー控えめのもの。
- 水分の摂取量を増やせるもの。

体型と尿石は一見関わりなさそうに思えますが、とても深い関係があります。
太っている猫はやせている猫に比べて「2倍」も尿路結石になりやすいというデータが出ています。
やせることも立派な治療ということです。

太っちょはかわいいけど、痛い思いはさせたくないから、やせさせたほうがよさそうね。
シュウ酸カルシウム尿石は溶かせる?
シュウ酸カルシウム尿石と同じくらい有名なのが「ストルバイト尿石」です。
ストルバイト尿石は体内にできてしまっても、フードを変えると溶かすことができます。
ですが、シュウ酸カルシウム尿石は溶かすことはできません。
現代の獣医学では、手術で尿石を除去した後の予防や、それ以上大きくならないようにするしか現代の医学では治療法がありません。
猫のシュウ酸カルシウム尿石フード・おすすめ5選
それでは上記の条件を満たしたフードで、特におすすめできるものを5つご紹介していきます。
※シュウ酸の量を公表しているフードはありませんので、カルシウムの量を記載しています。
ユリナリーS/O ライト(ロイヤルカナン)
カルシウム(100gあたり) | 0.80% |
カロリー(100gあたり) | 352kcal |
飲水 | 増やせる |
【味】チキン
【サイズ】500g・2㎏・4㎏
メリット
5商品の中でもカルシウム、カロリーともに控えめの部類に入るバランスの取れたフードです。
価格は5つのフードの中で最も安くなっていることが多いです。
なので「シュウ酸カルシウム尿石の治療はしたい。でもなるべく安くしたい」という方におすすめです。
治療実績は豊富ですので心配いりません。
デメリット
飲水を増やすことはできるのですが、それはフードの中の塩分が多く入っているからです。
人間でもしょっぱいものを食べると水を飲みたくなりますよね?
その原理を利用しています。
若い猫であれば塩分の高いものを食べても大丈夫であるという研究がありますが、高齢の猫では腎臓に負担がかかることが証明されています。
なので7歳以上の猫にはおすすめできません。
ユリナリーS/O オルファクトリーライト(ロイヤルカナン)
カルシウム(100gあたり) | 0.86% |
カロリー(100gあたり) | 346kcal |
飲水 | 増やせる |
【味】フィッシュ
【サイズ】500g・2㎏・4㎏
メリット
このフードは上記の「ユリナリーS/Oの味を高めたフード」です。
猫の「嗅覚」を研究して作られており、ロイヤルカナンのフードの中でも最も嗜好性の高いフードの1つです。
ですのでフードの好き嫌いがある猫にもっともおすすめです。
治療実績も豊富なので安心して使用できます。
デメリット
「ユリナリーS/O」と同様に塩分を高めることによって、飲水を増やす工夫をしています。
なのでこちらも7歳以上の猫にはお勧めできません。
メタボリックス・ユリナリーコンフォート(ヒルズ)
カルシウム(100gあたり) | 0.75% |
カロリー(100gあたり) | 341kcal |
飲水 | 増えない |
【味】チキン
【サイズ】500g・2㎏・4㎏
メリット
今回5商品の中でピー子が最もおすすめするのがこの「メタボリックス・ユリナリーコンフォート」です。
カルシウムの量も低く、カロリーは一番低く作られています。
また「加水分解ミルクプロテイン」というストレスを軽減する機能もついています。
これにより体内の違和感や、通院のストレスを和らげてくれます。
「太り気味でシュウ酸カルシウム尿石になってしまった猫」には第一優先で検討してほしいフードです。
塩分量も低いので全年齢に対応できます。
発売後2年程度ですが、治療実績はどんどん増えているフードです。
デメリット
ただこのフードを食べても大きく水を飲む量が増えることはありません。
塩分が高くないからです。(=7歳以上の高齢猫でも安心して使えます)
普段水を飲まないという猫の場合には、ふやかしたり、尿石用の缶詰を与えて水の摂取量を増やす必要が出てきます。
ですが、通常はドライフードでも十分な効果を発揮してくれます。
また機能も多い分、お値段は少し高くなります。
c/dコンフォート(ヒルズ)
カルシウム(100gあたり) | 0.68% |
カロリー(100gあたり) | 387kcal |
飲水 | 増えない |
【味】チキン
【サイズ】500g・2㎏・4㎏
メリット
c/dコンフォートは上で紹介した「メタボリックス・ユリナリーコンフォート」の普通のカロリー版のフードです。
ご覧いただいて分かるようにカルシウムの量は最も低くできているため、やせている猫に最もおすすめです。
こちらも「加水分解ミルクプロテイン」によるストレス軽減の機能がついています。
全年齢で安心して使えます。
デメリット
c/dコンフォートも塩分は高くないので、水を飲む量は増えません。
通常はドライで十分な効果を発揮してくれますが、飲水量を増やすために缶詰タイプも発売されています。
c/dコンフォートのメリットや口コミなど、こちらの記事で詳しく解説しています。
pHバランス(アニモンダ)
カルシウム | 0.95% |
カロリー | 377kcal/100g |
飲水 | 少し増やせる |
【味】チキン
【サイズ】300g
メリット
pHバランスのもっとも大きな特徴は「グレインフリー」であるところです。
穀物に対してアレルギーを持っている猫の場合には重宝できます。
上で紹介したpHバランス以外の4商品にはすべて、トウモロコシやお米が使われています。
ですので、「グレインフリーのフードでシュウ酸カルシウム尿石の治療をしたい」という猫に最もおすすめです。
デメリット
pHバランスのデメリットは治療実績が少ない、ということです。
動物病院で獣医さんがすすめることもあまりありません。
カルシウムの量も5商品の中で高くなっているので、穀物のアレルギーがないのであれば、他の4商品を先に使うほうがおススメです。
それではここまでの5商品をまとめます。(右にスライドできます)
ユリナリーS/O | ユリナリーS/O オルファクトリー | メタボリックス+ユリナリーコンフォート | c/dコンフォート | pHバランス | |
---|---|---|---|---|---|
カルシウム | 0.80% | 0.86% | 0.75% | 0.68% | 0.95% |
カロリー | 352kcal | 346kcal | 341kcal | 387kcal | 377kcal |
水を飲む量 | 増える | 増える | 増えない | 増えない (缶詰アリ) | 増えない |
こんな猫におススメ! | スタンダードな製品で少しでも費用を抑えたい | 好き嫌いの強い猫に | 肥満気味の猫のファーストチョイス | やせている猫のファーストチョイス | グレインフリーを使いたい |
※カロリーは100gあたり
以上、シュウ酸カルシウム尿石の猫さんたちの少しでもお役に立つとうれしいです!