【公開日:2020年11月7日】

どんなフードを与えればいいんだろう?
腎不全の末期になると、さまざまな体調の変化が出てきます。
そんなときにどんなフードを与えるべきなのか、迷ったり不安になりますよね。
ペット栄養管理士の筆者がおすすめのフードを紹介していきます。
この記事でわかること
腎不全の末期とは
慢性腎不全は基本的に完治することはなく、症状がすすんでいく病気です。
症状の進行を抑えていく、というのが治療の目的です。
そして慢性腎不全には4つのステージがあります。
「クレアチニン」や「SDMA」という血液検査の数値によって、どのステージにいるかを分類します。
※IDEXX社の資料より引用
腎不全の末期というのは、ステージ4を指します。
ステージの最後なので、もちろん「いい状態」とはいえません。
しかし猫の場合は、末期の腎不全でも「数か月~年」単位でも生きていくことができますし、食事次第で猫のつらい状態を楽にしてあげることができます。
メモ
ステージ4では、尿毒症という症状が出てきます。
体内に毒素がたまり、猫にとっては「めっちゃ気持ち悪い」という状態です。
その毒素の原因は、「リン」「タンパク質」です。
なので、「リン」「タンパク質」を控えた食事を与えることが、猫の気持ち悪さを楽にしてくれます。
ただひとくちに「ステージ4」といっても、状況は2つ考えられます。
- ギリギリ自分で食べることができる
- 自力では食べられない
ここから2つの状況に分けて、どんなフードを使えるのかを解説していきます。
自力で食べることができる場合
腎不全になると口内炎も出てきやすいため、ウェットタイプのほうが食べやすいことが多くなります。(ドライフードだと、口内炎にあたって痛がるため)
なので、ドライタイプに加えてウェットタイプもあるフードを選んでおくと、対応しやすくなります。
メモ
「何も食べない」という状態がいちばんよくないです。
これから紹介するフードをどれも食べない場合でも、他に食べる物があればそれを与えましょう。
栄養バランスは二の次です。
腎臓サポート
腎臓サポートは、ロイヤルカナンの腎臓用療法食です。
ドライタイプが3種類、ウェットパウチタイプが2種類あります。
ドライタイプのバリエーションの豊富さではNo.1といえます。
- ドライタイプ
- 腎臓サポート
- 腎臓サポートスペシャル★
- 腎臓サポートセレクション
※サイズは500g、2㎏、4㎏(セレクションのみ4㎏なし)
- ウェットパウチタイプ
- 腎臓サポート ウェットパウチ
- 腎臓サポートフィッシュテイスト ウェットパウチ ★
※サイズは85g
★マークは、「猫がいちばん食べることが多い」と筆者が感じているもの
腎臓サポートシリーズは、日本で一番売れている腎臓用の療法食です。
販売の歴史が長く、かつそれだけ満足度が高いと言えるでしょう。
言い換えると、まだ試したことがない方にとって「いちばんハズレが少ない」といえるかもしれません。
ドライタイプ ↓↓
ウェットパウチ ↓↓
k/d
k/dは、ヒルズから発売されている腎臓療法食です。
ドライタイプが2種類、缶詰タイプが4種類あります。
缶詰も「ペースト」「シチュー」という2つのカテゴリーに分けられるのが特徴です。
- ドライタイプ
- k/d チキン★
- k/d ツナ
※サイズは500g、2㎏、4㎏(ツナは4㎏なし)
- 缶詰(ペーストタイプ)
- k/d チキン★
- k/d ツナ
※サイズは156g
- 缶詰(シチュータイプ)
- k/d チキン&野菜★
- k/d ツナ&野菜
※サイズは82g
シチューとは、肉のかたまりや野菜などが入ったグルメ缶
k/dは、日本でいちばん販売歴の長い腎臓フードです。
栄養バランスも随時改良され、信頼性の高いフードといえます。
以前は「おいしくない」という声もありましたが、近年の改良で「大幅に味がよくなった」と評判です。
ドライタイプ ↓↓
ペーストタイプ ↓↓
シチュー缶 ↓↓
腎臓ケア
腎臓ケアは、アニモンダから発売されている腎臓用の療法食です。
ドライタイプが1種類、ウェットタイプが6種類あります。
ウェットタイプのバリエーションではダントツのNo.1です。
- ドライタイプ
- 腎臓ケア
※サイズは300g、1.2㎏
- 缶詰(ペーストタイプ)
- 腎臓ケア 七面鳥
- 腎臓ケア 鶏★
- 腎臓ケア 牛
- 腎臓ケア 豚
- 腎臓ケア 鴨★
- 腎臓ケア 仔牛
※サイズは100g
アニモンダは日本ではあまりメジャーではないですが、ドイツ産のヒューマングレード原材料を使ったフードとして人気があります。
また腎臓ケアはすべてグレインフリーで、穀物が気になる方も安心して使えます。
一度は試さないともったいない、といえるくらいクオリティが高いフードです。
ドライタイプ ↓↓
ウェットタイプ ↓↓
腎臓ケアについては、以下の記事でもくわしく解説しています。
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自力では食べられない場合
自力でもの食べられない時は、強制給餌が必要になります。
強制給餌とは、シリンジ(注射器)などを使って口から食べ物をいれてあげることをいいます。寝たきりの場合などが想定されます。
強制給餌のイメージ
強制給餌には、液体や流動状のものが適しています。
腎臓サポートリキッド(200ml)
上で紹介したロイヤルカナンの腎臓サポートには、液体タイプの「腎臓サポート リキッド」もあります。
サラサラした完全な液体です。
正直なところ、液体タイプでは値段がかなり高いほうです。(1本1,000円くらい)
ただ、付属のキャップをつけると直接シリンジから中身を吸えるようになっているなど、利便性はいちばん高いです。
また、そもそも「完全な液体の腎臓食」という時点でこれしかなく、希少価値も高いです。
なので、価格にたいしても十分満足できる商品といえます。
キドナ(20g)
キドナは、森乳サンワールドから発売されている腎臓食です。
粉末になっており、水やぬるま湯で溶いて液体を作るタイプです。
入れる水の量によって、粘度(サラサラ度)を変えていきます。
もとが粉末なので保存性が高く、コストパフォーマンスはいちばん高いです。
中も小分けの袋になっているため、使い勝手もよいです。
腎臓病は末期といえども長い付き合いになることも多いです。
そのなかで、価格面を特に重視される方におススメといえます。
k/d(156g)
上で紹介した、ヒルズのk/d(ペーストタイプ)の缶詰です。
上では「自力で食べられる用」として紹介しましたが、かき混ぜると流動食としても使えるようになります。
中身イメージ
この、2通りの与え方ができる(自力でも強制給餌でも)ことが大きな特徴です。
体調が日々変動した場合にも、対応がしやすいフードと言えます。
上記以外の腎臓用の流動食について関心のある方は、以下の記事も読んでみてください。
腎不全末期はオーナーさん自身大変な状況になることもあるかと思いますが、こちらの記事が少しでもお役に立つとうれしいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!