【公開日:2019年12月1日】
こんにちは!ピー子センパイです。

そういえば前にいた猫も療法食を食べなかったような・・・
猫に療法食をあげようとしたことのある飼い主さんは、「なかなか食べてくれない」で困った方も多いはず。
猫が療法食を食べない理由や食べさせる方法、療法食のおいしさについて、ペット栄養管理士歴10年以上のピー子が解説していきます!
この記事でわかること
猫が療法食を食べない理由
猫に療法食をあげようとしても食べない、となるのには以下の2つの理由があります。
- 病気により警戒心が高まっているから
- 療法食の栄養バランスが特殊だから
補足の解説をしていきます。
警戒心が高まっているから
猫は特に、病気で弱っているときは警戒心が強くなります。
「弱っているときは外敵に襲われる可能性が高くなる」という本能が働くからです。
そうすると、いつもと違うものや変化に対して非常に敏感になります。
それはフードでも全く同じことが言えます。
初めて見る療法食に対して「いつもとフードが違う。なんかおかしいぞ、危険なものかもしれない」と猫は感じやすいのです。
これが猫が「初めて与える療法食を食べない」という現象が起こりやすい最大の理由です。
栄養バランスが特殊だから
療法食は病気に対応するために、特殊な栄養バランスで作られています。
猫にとっては、食べ慣れたフードの味とまったく違うニオイや味なので、おいしいと感じにくいことがあります。
猫は比較的グルメな動物であるため、おいしくないと感じてしまうと「療法食を食べない」という行動につながりやすくなります。
詳細は記事後半の「療法食はおいしい?おいしくない?」を読んでみてください。
猫が療法食を食べない時の対策8選
初めて療法食を与えてみて「食べてくれない」という状況だったとしてもあきらめるのは早いです!
何らかの工夫をすることで療法食を食べてくれるようになることも多々あります。
具体例を8つ紹介します。
いつも通りの環境で与える
くり返しになりますが、病気の猫はとても警戒心が高まっています。
そんな時に以下のような状態だったら余計に警戒心が強まってしまい、療法食を食べない可能性が高まってしまいます。
- 飼い主が「食べるかな~?」と思いじっと見つめている(⇒外敵から狙われていると思ってしまう)
- いつもと違う場所でフードを与える(⇒いつもはこんなところにこんな風に置いてないぞ?罠かな?、と思ってしまう)
初めて療法食をあげる時には「無用な警戒心を抱かせない」ことが大前提です。
いつもとまったく同じ環境で療法食を与えるようにしましょう。
混ぜながら療法食に変更する
どんな療法食であっても、少しずつ混ぜながら療法食に切り替えることで、猫は警戒心を抱きにくくなります。
- 初日:今までのフードの1割分くらいの療法食を混ぜる
- 2日目:療法食を2割分くらい混ぜる
- 3日目:療法食を3割分くらい混ぜる
・・・
といった具合にして、1週間くらいかけて療法食に切り替えをしていきます。
こうすることで「療法食を食べない」という確率を減らせます。
メモ
この方法は警戒心を和らげるだけでなく、「初めてのフードで下痢をする、吐いてしまう」などのリスクも下げられます。
温める
猫がいちばん好きな食べ物の温度は40℃前後ということが研究で分かっています。
狩りをしていた時代の「獲物の体温」ですね。
なので、療法食も40℃くらいに温めると食べる確率が大きく上がります。
具体的には「レンジでチン」「ドライヤーの熱で温める」のがやりやすいでしょう。
ニオイをつける
猫に大好きな食べ物があるのであれば、それを利用するのも有効です。
たとえば「カツオ節」が好きな猫がいたとします。
そのカツオ節のニオイだけを療法食につけるのです。
メモ
カツオ節をそのまま混ぜるのは、療法食の栄養バランスを崩してしまうのでおすすめできません。
まず最初は「ニオイだけ」をつけるようにトライしましょう。
具体的には、以下の手順です。
①カツオ節をだしパックなどのネットに入れる
②①をフードが入った容器(袋)に入れ、一晩放置する
とても簡単ですよね。
おうちの猫が好きなもののニオイを利用するという方法なので、確実性は高い方法です。
ちゅーるを混ぜる
ニオイをつける方法と類似しますが、ちゅーるを好きな猫はとても多いです。
なのでちゅーるを混ぜると療法食を食べる可能性は高くなります。

確かにちゅーるは基本的には療法食と栄養バランスが異なることが多いので、おすすめできません。
ですが現在は、病気に配慮した栄養バランスのちゅーるが発売されています。
- 下部尿路に配慮したちゅーる
- 腎臓の健康に配慮したちゅーる
猫は下部尿路疾患と腎臓病が多い動物なので、上記のちゅーるで対応できる猫は多いと考えられます。
病気に配慮したちゅーるを療法食に混ぜれば、栄養バランスの面も安心ですし、猫にとっても食欲を大きくそそることでしょう。
ドライタイプや缶詰タイプなど、タイプを変えてみる
もし獣医師から指定された療法食を食べなくても、あきらめる必要はありません。
ほとんどの場合、獣医師はドライタイプや缶詰タイプなど、複数のタイプをすべて紹介することは多くありません。
ですが、同じ商品でも複数のタイプが存在していることが多いんです。
たとえば、猫の尿路疾患で使われることが多い、ヒルズの「c/dマルチケア」を見てみましょう。
c/dマルチケアだけで合計6タイプが存在しています。
- c/dマルチケア・チキン(ドライ)
- c/dマルチケア・フィッシュ(ドライ)
- メタボリックス・ユリナリー(低カロリーのドライ)
- c/dマルチケア・チキンシチュー(缶詰)
- c/dマルチケア・ツナシチュー(缶詰)
- c/dマルチケア・シーフード(缶詰)
なので、最初に指定された療法食を食べなかったとしても、タイプや味を変えてトライすると食べてくれる可能性は高まっていきます。
平たいお皿を使う
猫にとって「ヒゲ」は感覚をつかさどる重要な器官です。
なので、ヒゲにフードのカスなどがつくことを嫌います。
療法食に限ったことではありませんが、顔をあまり突っ込まなくていい平たいお皿を使うと、フードを食べる可能性は上がります。
療法食をあげる時に猫が嫌なことをしない
猫は本来関連のないものを結び付けて記憶しやすいです。
(例)
【フードをあげる時に痛みを伴う治療をする】
⇒このフードをすると痛い思いをする。このフードは敵だ。
【フードと一緒に苦い薬を混ぜる】
⇒このフードは苦いんだ。このフードはこれから避けよう。
なので療法食を初めてあげる場合、最初はその療法食に悪いイメージがつかないように他のことはしないほうがいいです。
猫にとって療法食はおいしい?おいしくない?

でもそもそも療法食ってマズイんでしょ?もっとおいしくならないの?
「療法食=まずい」と思っている飼い主さんも多いですが、半分は正しく、半分は間違っているといえます。
日本には、大きく分けて8種類の病気に対応する猫用の療法食があります。
- 尿路疾患用
- 腎臓病用
- ダイエット用
- 糖尿病用
- 消化器疾患用
- 皮膚病・アレルギー用
- 甲状腺機能亢進症用
- 肝臓病用
猫がかかりやすい病気は尿路疾患と腎臓病です。
その尿路疾患用フードや腎臓病用フードは、「タンパク質」「リン」「ナトリウム」の3つが制限されていることがほとんどです。
そして、猫は以下の4つの栄養素が多く入ったものを「おいしい」と感じやすいと言われます。
- タンパク質
- リン
- ナトリウム
- 脂肪
つまり尿路疾患用や腎臓病用の療法食は、「おいしい」に関わる4つの項目のうち3つが少ないということです。
なので今まで療法食を食べてくれなかった猫たちにとって、「尿路疾患用フードや腎臓病用フードはおいしくない」と感じることが多いかもしれません。

ですが、猫にとっては栄養成分だけでなく、「ニオイ」や「粒の形」もおいしさに強く関わるということも分かり始めています。
現在は、ロイヤルカナンやヒルズなど10社くらいのメーカーが療法食を製造しており、ニオイや粒など各社がたくさんのバリエーションを揃えています。
なので尿路疾患用や腎臓病の療法食であったとしても、おいしく食べられるケースも増えています。
実際に尿路疾患用フードや腎臓病用フードであっても、以下のような口コミも見られます。
うちの子膀胱炎体質だからpHコントロールのご飯あげてて新しいのあげたら美味しかったらしく早速食べ始めた
残ってるの前のご飯や( ◜ω◝ ) pic.twitter.com/JgFOSJaAj1— 縁-エニシ-9日魔理沙?? (@enenishi10) November 22, 2019
【猫飯ฅ'ω'ฅ話】
ヒルズの尿ケアc/dのチキン&野菜入りシチュー。うちはお腹が弱いので食べれるウェットも限られていますが、その中の1つです。野菜も入っていて凄く美味そうです(笑)小ぶりな缶でちょっとお高めですが、泌尿器系が心配な子も食べれるウェットです。ぼんさん完食(笑) pic.twitter.com/A3fCvTTVUm— ぼん@ (@yaha_bon) December 20, 2016
ロイヤルカナンの腎臓サポートは猫に人気だそうです。(動物病院曰く)
うちもロイヤルカナンの腎臓サポートのカリカリです。— 未央 (@girl6028) January 4, 2018
なので「療法食はおいしいか、おいしくないか」は、猫とフードの相性次第と言えそうです。
メモ
尿路疾患用フードや腎臓病フードは、各メーカーが最も力を入れ、様々なバリエーション(味、ニオイ、粒の形)を作っています。
なので「どれも食べない」ということはかなりの確率で防げるようになってきています。
バリエーションについて知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
「猫が療法食を食べない」についての記事は以上になります。
猫オーナーさんたちの少しでもお役に立つとうれしいです!