【公開日:2019年9月6日】
【更新日:2020年12月19日】

なんだかかわいそう・・・
腎不全になるとこんな状況になります。
食欲が落ちる⇒
食べ物が食べられない⇒
やせていく
元気だったころを想像すると、とてもショックですよね。
しかし「猫の腎不全」は食べ物を変えると、寿命も大きく変わります。
猫ちゃんの少しでも長生きしてもらうため、早く行動に移しましょう。
今回は「「猫が腎不全になった時の流動食」について、ペット栄養管理士の筆者がしていきます。
この記事でわかること
猫の腎不全の流動食選びのポイント
ペット用の流動食ならどれでもいいというわけではありません。
猫が腎不全の時に、ポイントになるのは主に2つです。
特に①は必ず読んでほしいポイントです。
流動食選びのポイント
- 栄養バランス
- 形状
それぞれ解説していきます。
栄養バランス
腎不全になると、腎臓で解毒できなかった毒素(尿毒素)が全身をまわってしまいます。
尿毒素の原因になる栄養素は、以下の2つです。
- タンパク質
- リン
よって、「タンパク質とリンが少ない」流動食を使う必要があります。
流動食なら何でもいいというわけではありません。

猫を楽にさせるはずの流動食なのに、本末転倒ですね。
猫の腎不全については、以下の記事でも解説しています。
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【猫の腎臓病の療法食】おすすめ17選を比較!食べない時の対策も解説
続きを見る
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【猫の腎臓病】サンプルやお試しサイズがあるフードまとめ。入手法も。
続きを見る
形状
一口に流動食といっても、2つのタイプがあります。
- 液体タイプ(サラサラしたもの)
- ペーストタイプ(トロトロしたもの)
液体タイプは文字通り、水のようにさらさらしています。
液体タイプだと、シリンジ(注射器)やカテーテル(管)を通すことができます。
ペーストタイプは、ムースやクリームのような質感です。
細いカテーテルを通すのは難しいですが、注射器なら多くの場合通ります。(水を混ぜることで多少の調整はできる)
また、スプーンや指ですくって与えることもしやすいです。
よって「口元まで運べば食べられる状態」ならおすすめです。
使い分けまとめ
液体タイプ
- 自力で食べることがほとんどできない。
- 注射器やカテーテルが必要。
ペーストタイプ
- 多少食べる力が残っている。
- 普通にごはんを食べられる時もある。
では上記のポイントを踏まえ、猫の腎不全の時に使える流動食を紹介していきます。
すべて低タンパク、低リンの栄養バランスの流動食です。
猫の腎不全のおすすめ流動食
腎臓サポートリキッド
ロイヤルカナンから発売されている、慢性腎不全用の流動食です。
製品名の通り、液体タイプです。
腎臓サポートリキッドは利便性が高く、注射器から直接吸い込めるキャップが付属しています。
液体の流動食は注射器やカテーテルの扱いの中でこぼしやすいですが、このキャップのおかげでその心配がありません。
また粉末を溶かすタイプとは違い、液体の状態でプラスチックボトルに入っています。
よって「水を入れる」「かき混ぜる」などの面倒な手間が一切ありません。
長い期間流動食を使っていると、取り扱いにストレスを感じてくるものですので、これも大きなメリットとなります。
デメリットは、コストが高いことです。
1本200ml入りですが、3㎏の猫に1日150mlを目安に与えます。つまり1日ちょっとで使い切ってしまうということです。
※この商品は「48時間で使い切り」がメーカーの推奨。
手間と使いやすさ重視で、コストは多少我慢できる!という方におすすめの流動食です。
猫用キドナ
森乳サンワールドから発売されている、液体タイプの流動食です。
粉末の状態ですので、水に溶いて使います。
水の量を変えることで、液体~ペースト状と固さを調節できるので、汎用性が高いです。
粉末で、中も20g×20包と小分けになっているので保存性も高いです。
保存性が高いことで、ランニングコストも安くなります。
1日2包(40g)くらいが量の目安ですが、計算すると、腎臓サポートリキッドよりも3割以上安くなります。(1日当たりのコスト)
デメリットは、毎日水に溶く手間がかかることです。
なので「水に溶く手間はかかるけど、少しでもコストは抑えたい」という方におすすめです。
腎臓ケア・k/d
ヒルズから発売されているペーストタイプの流動食です。
開けると普通の缶詰ですが、かき混ぜていくことで流動性が強くなり、トロトロした感じになります。
k/dは「腎不全の猫にk/dをあげると、一般食をあげた猫より2年長生きする」という研究があります。
ですので、自不全の猫に与える安心感は抜群です。
与える量は、「4kgの猫に、1日1缶くらい」が目安です。
ペーストタイプは液体タイプよりもカロリーの濃度が高いので、コストパフォーマンスも高いです。
デメリットとしては、缶がかさばって廃棄が大変だということです。
毎日数缶使う、という感じだと意外にストレスになるかもしれません。
「ペーストタイプで効果の高いものを与えたい」という方におススメです。
ちなみに「ツナ味」と「チキン味」の2つから選べます。
k/dのツナ味です。
こちらはチキン味です。
FKW
スペシフィックから発売されているペースト状の流動食です。
デンマーク産で、最小限の添加物で作られた安心感の高いフードです。
k/dとは違ってアルミ製のトレイなので廃棄がしやすく、1個が100gなので食品ロスも少ないです。
デメリットは、流通量の少なさからかAmazonなどでも在庫がないことがあることです。
長期的に使うときには、この点はマイナスになります。
与える量は、「4㎏の猫に1日1個」が目安です。
1ケースが7個入りなので、もし食べなかったりした場合でも無駄は少ないです。
なので「安全なものをあげたい。かつ流動食を使えるかどうかまず少し試してみたい」という方におススメです。
プロネフラ(番外編)
こちらは少し番外編ですが、液体タイプのサプリメントです。
尿毒素のリンを血液中から減らしてくれるという作用のあるものです。
リンの数値を下げる効果のある「炭酸カルシウム」と「炭酸マグネシウム」が入っています。
栄養成分はほとんど入っていないので、あくまでサプリメントとして使います。
60ml入りで、「4㎏の猫に1日2ml」を使います。
「腎臓の薬を飲まない」「腎臓のフードを食べない」という時に、ピンチヒッター的に使うのがおススメです。

ちなみに注射器とかは病院で買った方がいいの?
コストを求めるのならネットで自分で買いましょう。

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流動食はかわいそう?
「流動食=病院」というイメージがあります。
よって流動食を使うことが「かわいそう、つらそう」と思ってしまうかもしれません。
ですがよく考えてみてください。
腎不全になると体には毒素が循環し、しかも栄養が少なくなっている状態です。
そんな状態ではどんどん弱っていきますし、つらさが増していきます。
流動食を使えば「栄養分を体に入れ、毒素を減らす」ことができます。
病気に抵抗することができるようになるのです。
その方が猫ちゃんもずっと楽になりますよね?
「もし腎不全で流動食を使う段階が来たら、迷わずに流動食を使ってあげてほしい」と、ペット栄養管理士の視点からお伝えさせていただきます。
以上、猫オーナーさんたちの少しでもお役に立つとうれしいです!