【公開日:2020年3月22日】

さっき与えたアンチノールが原因なのかな?
アンチノールを与えると、便がゆるくなったり、吐いてしまうことがあります。
ペットの体調変化は心配になりますよね。
上記の原因や対策について、ペット栄養管理士の筆者が解説していきます。
アンチノールで「下痢する・吐く」原因と対策
アンチノールは小さいカプセルなので、「こんな小さな物が、下痢や吐く原因になる」というのは信じにくいかもしれません。
ただサイズに関係なく、口から入るものはどんなものでも、下痢や吐く原因になり得ます。
アンチノールを与えて下痢をするのには、3つの理由が考えられます。
- 新しいものにおなかが慣れていない
- 胃腸が脂肪分に弱い
- 牛に対するアレルギーがある
ひとつずつ解説していきます。
新しいものに胃腸が慣れていない
アンチノールに限らず、「初めての食べ物に下痢をする、吐いてしまう」というのは犬猫でよくあることです。
新しいフードや、新しいおやつでも、よく見られます。
メモ
とくに犬猫は人間に比べて「吐きやすい」動物です。
この理由を特定することは難しいですが、
- 胃腸に初めての刺激が加わる
- その食べ物への消化酵素が足りない
などが考えられます。
対策
このケースの場合、「徐々に慣らすと、下痢や嘔吐が軽減する」ことがあります。
そんななか、アンチノールは「中身の液体だけをたらす」という使い方ができます。
アンチノール公式サイトより抜粋
なので、徐々に慣らす意味で「中身の半量をフードにかける」からスタートしていくことをおススメします。
3,4日間それを続ければ、慣れていく可能性があります。

残念ながらあまった分は使わずに捨てるほうがいいでしょう。
なぜなら、アンチノールの中身は「高レベルの脂肪酸」だからです。脂肪酸は酸化しやすく、酸化したものを与えると下痢の原因になります。
カプセルを割った時点で酸化が始まります。
胃腸が脂肪に弱い
犬や猫の中には、「脂肪に対して胃腸が弱く、下痢しやすい」という子たちがいます。
「脂肪=消化が悪い」というわけではありませんが、脂肪は胃腸を通過するスピードが遅いです。
それに対する「耐性」が、個体ごとにちがうのかもしれません。
アンチノールの主成分は脂肪なので、その影響がでてしまうのかもしれません。
公表されている成分を見てみます。
水分 | 5.7% |
粗タンパク質 | 28.6% |
粗脂肪 | 58.5% |
粗繊維 | 0.1%未満 |
粗灰分 | 0.2% |
カプセルの中の半分以上は脂肪でできている、ということが分かります。
「アンチノール=大量の脂肪の粒」を食べているようなものなんです。
よって、脂肪に弱い犬猫たちは、アンチノールで下痢や嘔吐をしてしまうことがある可能性があります。
メモ
大量の脂肪、と書くと少し悪いイメージを持つかもしれません。
正確には、アンチノールにはEPAやDHAなどの「不飽和脂肪酸」がたくさん入っています。
不飽和脂肪酸は「抗炎症」や「コレステロールを下げる」などの有益な成分です。
なので、アンチノールが健康に配慮された優れた製品であることは間違いありません。
対策
残念ながら、このケースでは「明確にこれ!」という対策がありません。
乱暴ですが、アンチノールを与えるのをやめるほうがいいでしょう。
「脂肪(不飽和脂肪酸)をたくさん摂取できる」のがアンチノールのメリットですが、それが下痢の原因になってしまうからです。

それでも何か「少しでも改善の可能性のある方法」はないの?
強いていえば「食物繊維を多く与える」ことで改善する可能性はあります。
食物繊維には以下のような作用があるからです。
- 脂肪の吸収をゆるやかにする
- 便をかためやすくする
キャベツやレタスなどの野菜に食物繊維は多いので、野菜をあげるのもいいでしょう。
または、食物繊維のサプリメントも販売されています。
サイリウムという粉末の製品で、ペット用サプリの会社から販売されています。サイリウムをアンチノールと合わせて使うのはお手軽です。
メモ
サイリウムとアンチノールをあわせても、副作用はありません。
牛に対するアレルギーがある
また、「アンチノールの成分に対するアレルギーがある」ことも考えられます。
食物アレルギーは、タンパク質が原因です。(=タンパク質がアレルゲンになる)
アンチノールの原材料を見ると、「牛」が使われています。
【アンチノールの原材料】
オリーブオイル、モエギイガイ非極性脂質(PCSO-524)、d-α-トコフェロール、カプセル(牛由来ゼラチン、グリセリン、水)
ゼラチンは、カプセルの殻を作るときに使われます。ア
ンチノールの場合「牛由来」と書かれていますので、牛の骨や皮から作られているようです。
ゼラチンの中にはタンパク質が含まれているので、牛のアレルギーがあるペットの場合は、下痢や嘔吐を起こす可能性が高いです。
過去に
- 牛が使われたフードやおやつ
- ワクチン(※)
にアレルギーが出たことはないですか?
心当たりがあれば、「牛由来ゼラチンが下痢・嘔吐の原因」である可能性が高いでしょう。
※メモ
ワクチンの中には牛の成分が入っていることがあり、牛アレルギーのペットが反応してしまうことがあります。
対策
牛に対するアレルギーがあるのなら、アンチノールを使うことはやめるべきです。
どうやっても中身の成分を変えることはできないからです。

ちなみに「牛が使われていない、不飽和脂肪酸の多いサプリ」ってないの?
現在ではアンチノールの後発品で、「モエギタブ」というサプリメントが発売されています。
共立製薬という動物用の医薬品を販売している会社が作っています。タブレット(錠剤)タイプです。
アンチノールとまったく同じではありませんが、「モエギイガイから濃縮した不飽和脂肪酸が主成分である」という最重要なポイントは変わりません。
それでいて、原材料に牛は使われていません。
アンチノール | モエギタブ |
オリーブオイル、モエギイガイ非極性脂質(PCSO-524)、d-α-トコフェロール、カプセル(牛由来ゼラチン、グリセリン、水) | モエギイガイ抽出脂質物、イソマルオリゴ糖、結晶セルロース、酵母エキス、チキンフレーバー、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸Ca、二酸化ケイ素 |
価格も50粒入りで2,706円です。※1
1粒あたり54円で、アンチノールより4割以上安くなります。(アンチノールは1粒あたり95円※2)
※1 記事作成時のAmazon価格
※2 「60粒入り」を、定期購入価格(5,720円)で入手した想定
牛アレルギーが疑われるのであれば、モエギタブを一度試してみる価値はあるでしょう。
「アンチノールをあげると下痢をする?」の記事は以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!