胆泥症の時には、食事療法をすすめられることがあります。
この記事ではペット栄養管理士が、以下のポイントで解説しています。
- 胆泥症の犬に、りんごをあげて大丈夫?
- りんごをあげる時の注意点は?
この記事でわかること
犬の胆泥症とは
体の中には「胆のう」という臓器があります。胆のうには「胆汁(たんじゅう)」という消化酵素が貯まっており、主に脂肪の消化・吸収に使われています。
この胆汁はサラサラの液体ですが、何らかの原因でドロドロになってしまうことがあります。
この「胆汁がドロドロになった状態」を胆泥症といいます。
原因
胆泥症のはっきりとした原因は、まだ解明されていません。ですが、2つの傾向があります。
1つ目は「犬種」です。以下の犬種は、胆泥症になりやすいといわれています。
胆泥症が多い犬種
- ミニチュア・シュナウザー
- トイ・プードル
- ヨークシャー・テリア
- シェットランド・シープドック
- コッカ―スパニエル
写真はイメージ
2つ目は「他の病気の存在」です。胆泥症の犬は、以下の病気も一緒に持っていることが多いです。
胆泥症の背景によくある病気
- 高脂血症
- 甲状腺機能低下症
- 副腎皮質機能亢進症
- 肥満
胆泥症を含め、これらは「脂質代謝異常」ともいわれます。つまり体内で「脂肪の代謝がうまくいっていない」という意味です。
この脂肪代謝の低下が、胆泥症の原因なのかもしれません。
リスク
「胆泥症自体は病気でもなく、他の病気につながるわけではない」と主張する研究者がいます。
ただ一方で、「以下のような病気につながる」と主張する研究者もいます。
胆泥症がつながる可能性?
- 胆管炎
- 胆管閉塞・胆管破裂
- 胆のう粘液脳腫
まとめると「そこまで気にする必要がない」という説と「治療をすべき」という説の両方がある、という感じです。
対処・対策
胆泥症では、現状でよくおこなわれる治療は「内服薬」です。
それに加えて食事療法も行われることがあります。
それぞれのおおまかなポイント、目的は以下のような感じです。
- 内服薬:胆汁を流しやすくする
- 食事療法:消化が良く、低脂肪のものを与える
薬では、胆汁を流しやすくするものが使われることが多いです。(ウルソデオキシコール酸やスパカールなど)
また胆汁は脂肪の消化酵素であり、それが分泌されにくいという状態です。
よって食事療法では、「消化がよく、かつ低脂肪」のものを使うのがよいでしょう。
胆泥症の犬にりんごをあげても大丈夫?
では「りんご」は、胆泥症の犬にあげて問題ない食品なのでしょうか?
上記の食事療法のポイントを踏まえると、結論としては「あげても問題ない」といえます。
なぜなら、りんごには脂肪分はほとんど含まれておらず、消化性も高いからです。(果肉の部分。くわしくは後述)
リンゴの栄養成分(食品成分データベースより)
ただし、個体によってどのような反応が起こるかは大きく違います。
はじめて与える場合には、かかりつけの動物病院で相談の上で与えるほうがよいでしょう。
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りんごをあげる時の注意点
さらにりんごをあげる際には、いくつかの注意点があります。
よく洗う
買ったばかりのりんごの表面には、農薬が残っている場合があります。
なので、よく洗ってからあたえるほうが安心です。
農薬の多くは水に溶ける性質なので、水洗いをすれば落とすことができます。
よく水洗いしてからあげましょう
少しずつ与える
りんごを食べ慣れている場合であれば別ですが、はじめて食べる場合には「少しずつ」与えるようにしましょう。
1㎝角のものを1日1個から、くらい慎重になってもよいです。
というのも、初めて食べるものに対しておなかが慣れていないと、下痢や嘔吐をおこすことが、犬にはよくあるからです。
初めてあげる場合は、小さくして少しずつあげましょう
また、りんごにもカロリーがあるため、あげすぎは肥満の原因になります。
上述のように、肥満も胆泥症と関わっている可能性があるため、りんごのあげすぎは禁物です。
皮、種、芯は与えない
りんごは果肉の部分だけを与え、それ以外は与えないようにしましょう。
理由は以下の通りです。
- 皮:消化率を下げる可能性がある
- 種:シアン化合物が含まれ、嘔吐などの原因になる
- 芯:消化できず、腸閉塞などの原因になる
果実以外はあげないようにしましょう
上記をまとめると、「よく洗い」「少量ずつ」「果実部分だけを与える」というのが、りんごを与える時のポイントになります。
「胆泥症の犬にりんごをあげて大丈夫?」の記事は以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!