そういえばこの前買った時も「値段上がってる?」て感じたんだけど・・・
2022年に入り、ロイヤルカナンのリキッドシリーズが品薄や欠品になることが続いています。
その背景や対策について、ペット栄養管理士の筆者が解説していきます。
この記事でわかること
ロイヤルカナンのリキッドが欠品・品薄
ロイヤルカナンの「リキッド」は、犬猫のための液体状の療法食で、強制給餌※などにも使われます。(※シリンジやカテーテルで栄養補給をすること)
以下の5種類があり、それぞれの以下を目的として栄養バランスを調整しています。
商品名 | 用途 | 栄養特徴 |
クリティカルリキッド(犬猫兼用) | ・疾病回復期 ・手術後など栄養要求量が高い時 |
・消化性の高い原材料 ・カロリー含有量を高める |
消化器サポート低脂肪(犬) | ・消化吸収不良による下痢 ・高脂血症 |
・脂肪含有量を調整 ・カロリー密度を調整 |
消化器サポート高栄養(犬) | ・消化器疾患の犬 ・疾病回復期 |
・消化性の高い原材料を使用 ・カロリー含有量を高める |
腎臓サポート(犬) | ・慢性腎臓病 | ・リンの含有量を制限 ・タンパク質の含有量を調整 |
腎臓サポート(猫) | ・慢性腎臓病 | ・リンの含有量を制限 ・タンパク質の含有量を調整 |
※詳しくは以下の記事でも解説
ペットフードの中で「完全な液体」になっていて、かつ「病気のための栄養バランス」になっているものはほとんどないため、リキッドシリーズは大変人気があります。
ですが2022年に入り、このリキッドシリーズが品薄・欠品になることが続いています。
実際に、その影響がSNS上でも散見されています。
ロイヤルカナン リキッド 消化器サポート 腎臓サポート 犬
品薄かもしれません
ご確認を…🙏 https://t.co/j495c4Vmp3— ひなり 老犬介護 (@hanamomosakura2) February 1, 2022
またロイヤルカナンの治療食のリキッドが品薄になってる。
今回は転売とか抜きでどのサイトも在庫が無くて本当に困ってます。
このリキッドに変えてから1日に数10回嘔吐してた回数がやっと減ってきたというのに…ㅜㅜ
うちの子の命綱が…
困った困った困った…— たかな (@c5riingoc5) February 10, 2022
リキッドは5種類とも品薄になっているようです。
それにともない、Amazonなどの通販サイトでも、
- 出品がない
- 出品があっても値段が高い※
という状況が続いています。
Amazonの出品
(通常は1本あたり1,000円前後)
このリキッドシリーズの欠品・品薄の理由は何なのでしょうか?
※決してメーカーが値上げをしたわけではありません。
リキッドが欠品・品薄になっている理由は?
リキッドシリーズの品薄について、その理由など公式サイトでの発表はありません。
ですが2022年3月現在、ロイヤルカナン以外のメーカーも含め、療法食や動物薬が全体的に不安定な流通状態になっています。
品薄や欠品は、「海外からの輸入品」で多発しています。
輸入品のほとんどは「船」で運ばれていますが(海上輸送)、「新型コロナウイルス」によってコンテナが不足し、発送の遅延がおこっています。
この問題はペットフードや動物薬だけの問題に限りません。(参考記事)
2022年2月下旬からは、ロシアのウクライナ侵攻も始まってしまったため、さらなる輸送の混乱が起こる可能性があります。
よって個人的には、以下のスタンスでいるのが最善だと考えています。
- 切らしたらまずいものは、あるうちに多めに買っておく
- 代用品を事前に知っておき、いざという時のために試しておく
1については、大手通販サイトで、適宜確認するとよいでしょう。
\【犬用】消化器サポート低脂肪 /
\【犬用】消化器サポート高栄養 /
\【犬用】腎臓サポート /
\【猫用】腎臓サポート /
\【犬猫兼用】クリティカルリキッド /
2については、「それぞれのリキッドの代用品」をこれから解説していきます。
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リキッドの代わりの商品
「最初から完全な液体になっている療法食」は、ロイヤルカナンのリキッドしかありません。
よって「ジェネリックのような、まったく同じものはない」というのが前提として必要です。
そのうえで
- 栄養バランスの調節により、特定のケアがしてある療法食
- 流動食として使えるもの
という2つの視点で、リキッドの代用品を紹介していきます。
【犬猫兼用】クリティカルリキッドの代用品
クリティカルリキッドの代用品としては、チューブダイエット ハイカロリー(森乳サンワールド)がおすすめです。
チューブダイエットハイカロリー
粉末状で、お湯に溶いて使います。
入れるお湯の量によって流動性が変化し、シリンジ(注射器)やカテーテルでの給与を行えます。
以下、参考です。
粉末20gに対し、水を50m~100lいれると液体状になる(左の2つ)
「タンパク質43.0%」「カロリーは510kcal/100g」と、かなりの高タンパク&高カロリーの設計です。
また高消化性の原材料を使用しています。
チューブダイエットハイカロリーの栄養バランス
タンパク質 | 43.0% 以上 |
脂質 | 28.0% 以上 |
粗繊維 | ー |
灰分 | 4.0% 以下 |
水分 | 3.5% 以下 |
エネルギー | 510kcal/100g |
さらにクリティカルリキッドに比べ、以下の点もメリットになります。
- 粉末が「20gごと」の小分けになっているため、保存性が高い
- ランニングコストが安い(1包で250円程度)※
※体重4㎏の犬で、1日に2包を消費。
くわしい給与量は公式サイトの「1日当りの標準給与量(g)」をご確認ください。
「お湯に溶く手間」が必要になってしまいますが、気になる方は一度試してみるのもよいかと思います。
\ チューブダイエット ハイカロリーをさがしてみる /
【犬用】消化器サポート低脂肪の代用品
「消化器サポート低脂肪」の代用品としては、チューブダイエット 低脂肪(森乳サンワールド)がおすすめです。
チューブダイエット低脂肪は粉末状で、お湯に溶いて使います。
そして入れるお湯の量によって流動性が変化し、シリンジ(注射器)やカテーテルでの給与を行えます。
以下、参考です。
粉末20gに対し、水を50m~100lいれると液体状になる(左の2つ)
脂質は3.0%とかなりの低脂肪なので、栄養バランスは全く問題ありません。
カロリーも385kcal/100gで、ドライフードとおなじくらいのカロリー濃度です。エネルギー補給の面でもばっちりです。
※そもそもチューブダイエットは「消化器サポート低脂肪」よりずっと前から発売されている歴史のある商品です。
チューブダイエット低脂肪の栄養バランス
タンパク質 | 25.0% 以上 |
脂質 | 3.0% 以上 |
粗繊維 | 0.3% 以下 |
灰分 | 5.0% 以下 |
水分 | 3.0% 以下 |
エネルギー | 385kcal/100g |
さらに消化器サポート低脂肪リキッドに比べ、以下の点もメリットになります。
- 粉末が「20gごと」の小分けになっているため、保存性が高い
- ランニングコストが安い(5包で1,500円程度)※
※体重4㎏の犬で、1日に2~3包を消費。
くわしい給与量は公式サイトの「1日当りの標準給与量(g)」をご確認ください。
「お湯に溶く手間」が必要になってしまいますが、気になる方は一度試してみるのもよいかと思います。
\ チューブダイエット 低脂肪をさがしてみる /
【犬用】消化器サポート高栄養の代用品
「消化器サポート高栄養」の代用品としては、以下の2つがおすすめです。
- チューブダイエット ハイカロリー(森乳サンワールド)
- 退院サポート(ロイヤルカナン)
チューブダイエットハイカロリー
まず「チューブダイエットハイカロリー」ですが、粉末状で、お湯に溶いて使います。
入れるお湯の量によって流動性が変化し、シリンジ(注射器)やカテーテルでの給与を行えます。
以下、参考です。
粉末20gに対し、水を50m~100lいれると液体状になる(左の2つ)
「タンパク質43.0%」「カロリーは510kcal/100g」と、かなりの高タンパク&高カロリーの設計です。
栄養補給をたっぷり必要な犬に最適です。
また「中鎖脂肪酸」や、デンプンを酵素処理した「デキストリン」を主原料にしているため、消化性も高いです。
チューブダイエットハイカロリーの栄養バランス
タンパク質 | 43.0% 以上 |
脂質 | 28.0% 以上 |
粗繊維 | ー |
灰分 | 4.0% 以下 |
水分 | 3.5% 以下 |
エネルギー | 510kcal/100g |
さらに消化器サポート高栄養リキッドに比べ、以下の点もメリットになります。
- 粉末が「20gごと」の小分けになっているため、保存性が高い
- ランニングコストが安い(1包で250円程度)※
※体重4㎏の犬で、1日に2包を消費。
くわしい給与量は公式サイトの「1日当りの標準給与量(g)」をご確認ください。
「お湯に溶く手間」が必要になってしまいますが、気になる方は一度試してみるのもよいかと思います。
\ チューブダイエット ハイカロリーをさがしてみる /
もう一方の「退院サポート」はロイヤルカナンの缶詰です。
完全な液体ではありませんが、流動性がとても高いため、注射器やシリンジでの給与が可能です。
退院サポート
中身
水分量が70%をこえるため、それ以外の栄養素が少なく見えます。
ですが、水分以外を除いて考えると(乾物量分析値)、かなりの高タンパク&高脂肪です。
退院サポートの栄養バランス
タンパク質 | 12.7% |
脂質 | 6.4% |
粗繊維 | 2.4 % |
灰分 | 2.3% |
水分 | 73% |
エネルギー | 124kcal/100g |
体重4㎏の犬に、1日に1缶くらいを与えます。
1缶は400~500円で販売されているため、リキッドよりかなり割安になります。
同じメーカーですし、「完全な液体」にこだわりがないのであれば、十分に検討する価値があります。
\ 退院サポートさがしてみる /
【犬用】腎臓サポートの代用品
「腎臓サポート」の代用品としては、キドナ(森乳サンワールド)がおすすめです。
ちなみにキドナは「猫用」もあるため、間違えないよう注意が必要です。(袋の色が黄色:犬用、緑:猫用)
犬用キドナ
キドナは粉末状で、お湯に溶いて使います。
そして入れるお湯の量によって流動性が変化し、シリンジ(注射器)やカテーテルでの給与を行えます。
以下、参考です。
粉末20gに対し、水を50m~100lいれると液体状になる(左の2つ)
腎機能の低下に配慮し「タンパク質」「リン」「ナトリウム」を制限してあります。
カロリーは「572kcal/100g」なので、エネルギー補給も効率的におこなえます。
キドナの栄養バランス
タンパク質 | 22.0% 以上 |
脂質 | 39.0% 以上 |
粗繊維 | 2.0% 以下 |
灰分 | 4.0% 以下 |
水分 | 3.0% 以下 |
エネルギー | 572kcal/100g |
さらに腎臓サポートリキッドに比べ、以下の点もメリットになります。
- 粉末が「20gごと」の小分けになっているため、保存性が高い
- ランニングコストが安い(1包で300円程度)※
※体重4㎏の犬で、1日に2包くらいを消費。
くわしい給与量は公式サイトの「1日当りの標準給与量(g)」をご確認ください。
「お湯に溶く手間」が必要になってしまいますが、気になる方は一度試してみるのもありかと思います。
\ キドナをさがしてみる /
【猫用】腎臓サポートの代用品
「腎臓サポート」の代用品としては、以下2つがおすすめです。
まずキドナですが、粉末状になっています。
※ちなみにキドナは「犬用」もあるため、間違えないよう注意が必要です。(袋の色が緑:猫用、黄色:犬用)
猫用キドナ
そして入れるお湯の量によって流動性が変化し、シリンジ(注射器)やカテーテルでの給与を行えます。
以下、参考です。
粉末20gに対し、水を50m~100lいれると液体状になる(左の2つ)
腎機能の低下に配慮して「タンパク質」「リン」「ナトリウム」を制限してあります。
カロリーは「495kcal/100g」なので、エネルギー補給も効率的におこなえます。
キドナの栄養バランス
タンパク質 | 32.0% 以上 |
脂質 | 25.0% 以上 |
粗繊維 | ー |
灰分 | 4.5% 以下 |
水分 | 3.0% 以下 |
エネルギー | 495kcal/100g |
さらに腎臓サポートリキッドに比べ、以下の点もメリットになります。
- 粉末が「20gごと」の小分けになっているため、保存性が高い
- ランニングコストが安い(1包で300円程度)※
※体重4㎏の猫で、1日に3包くらいを消費。
くわしい給与量は公式サイトの「1日当りの標準給与量(g)」をご確認ください。
「お湯に溶く手間」が必要になってしまいますが、気になる方は一度試してみるのもよいかと思います。
\ キドナをさがしてみる /
もう一方の「k/d」ですが、ヒルズの缶詰です。
液体状ではないですが、混ぜるととろみが強くなり、シリンジ(注射器)での給与くらいなら対応できます。
猫用k/d
タンパク質やリン、ナトリウムが制限されています。
療法食のとしても販売歴が長く、安心感が高いです。
k/dの栄養バランス
タンパク質 | 7.2 % |
脂質 | 5.5 % |
粗繊維 | 0.4 % |
灰分 | ー |
水分 | 78.0% 以下 |
エネルギー | 109kcal/100g |
4㎏の猫で、1日に1.5缶くらいを与えます。
1缶250円くらいですので、腎臓サポートリキッドよりかなり割安になります。
「完全な液体」にこだわなければ、十分試す価値があります。
\ k/dをさがしてみる /
※k/dの缶詰には「シチュー(82g)」もありますが、流動状になるのは「156g缶」のほうです。
間違えないよう注意しましょう。
また156g缶には「チキン味」もありますが、欠品しているようで出品がありません。「ツナ味」のみが出品されています。
「ロイヤルカナンのリキッドが品薄・欠品?」の記事は、以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!