「ヒルズとロイヤルカナン、どちらかを使っておけば間違いない」って聞いたんだけど、どっちのほうがいいの?
フードの合う合わないは、犬ごとによって違うため、どちらがいいかは一概に決めにくいところではあります。
ですが、「選びやすさ」や「よく使う原材料や添加物」など、大まかな傾向は比較できます。
ということで、以下5つのポイントから「ヒルズとロイヤルカナン」を、ペット栄養管理士の筆者が比較してみます。
この記事でわかること
商品のラインナップ
結論から書くと、商品のラインナップが多いのはロイヤルカナンです。だいたいヒルズの1.5倍の商品数があります。
よって「いろんな選択肢の中から選びたい」というニーズに応えやすいのは、ロイヤルカナンだと言えます。
【 商品数のちがい 】
ヒルズ |
ロイヤルカナン |
|
総合栄養食 | 48 | 77 |
療法食 | 45 | 62 |
※記事公開時点の情報。
※サイズの違いは含まれない(例:1㎏と3㎏の袋があったとしても、商品数は「1」とカウント
※療法食は「病気の治療のサポートとして使われるフード」。
ヒルズの特徴
ヒルズの総合栄養食は、年齢分け(ライフステージ)のみで構成されているのが特徴です。
サイエンスダイエットシリーズ
同じライフステージの中で粒のサイズが分かれているものはありますが、犬種別などにはなっていません。
「どの犬でも使えるようにできている」ということで、シンプルに選びやすいと言えます。
一方で、「自分の犬だけに合ったものをあげたい」という特別感は得にくいと言えます。
ヒルズの療法食は、ドライフード以外に「シチュー缶」というグルメタイプの缶詰があるのが特徴です。
療法食=おいしくない、というイメージを覆すような商品です。
肉のかたまりやとろみがつき、嗜好性を重視しています。
病気の時には食欲が落ちていることも多いので、希少価値の高いフードと言えます。
シチュー缶の中身イメージ
シチュー缶がある療法食
※消化ケアが3種類あります。違いについては以下の記事で解説しています。
-
【ヒルズ】i/dコンフォートとi/dはどう違う?ペット栄養士が解説
続きを見る
ロイヤルカナンの特徴
ロイヤルカナンで特徴的なのは、犬種別フードが豊富なことです(総合栄養食)。
記事公開時点で、14の犬種フードがあります。
ロイヤルカナンの犬種別ラインナップ
ロイヤルカナンシリーズ
しかも犬種の中でも年齢分けがされているため、「ピンポイントで自分の犬に合ったものを見つけられる」という特別感があります。
半面それを食べてくれなかった時に、他のフードは選びにくいデメリットがあります。
またロイヤルカナンの療法食は、ドライフード以外に「リキッド」という流動食があるのが特徴です。
ペットが病気の時には自力で食べられなくなる事があります。
そんな時に、注射器などをつかって体に流動食を入れることがあり(強制給餌)、リキッドは大変利用しやすいです。
リキッドシリーズ
リキッドがあるフード
リキッドの使い方などについては、以下の記事でも解説しています。
-
【ロイヤルカナン】クリティカルリキッドの使い方や評判、類似品まとめ。
続きを見る
原産国
ヒルズとロイヤルカナンがフードを製造している工場は、以下のようになっています。
ヒルズ |
ロイヤルカナン |
アメリカ
チェコ オランダ |
フランス
オーストリア カナダ 韓国 |
商品によって原産国は変わってきますので、原産国を気にする方は公式サイトなどから調べるとよいでしょう。
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原材料
ヒルズ
ヒルズがよく使っている主原料としては、以下のものがあります。
- とうもろこし
- チキン
- ターキー
すべての酸化防止剤が「自然由来のもの」を使っています。ドライフードは着色料も使っていません。
大手メーカー=人工添加物だらけ、という印象がありますが、ヒルズはその点安心です。
アダルト1~6歳(総合栄養食)の原材料
トリ肉(チキン、ターキー)、トウモロコシ、小麦、米、動物性油脂、トリ肉エキス、植物性油脂、亜麻仁、ポークエキス、トマト、柑橘類、ホウレンソウ、ミネラル類(ナトリウム、カリウム、クロライド、銅、鉄、マンガン、セレン、亜鉛、ヨウ素)、乳酸、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、ベータカロテン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン)、アミノ酸類(タウリン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物)
消化ケア i/d(療法食)の原材料
トウモロコシ、米、全卵、トリ肉(チキン、ターキー)、トリ肉エキス、コーングルテン、ビートパルプ、動物性油脂、ポークエキス、植物性油脂、亜麻仁、サイリウム、ミネラル類(カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、クロライド、銅、鉄、マンガン、セレン、亜鉛、ヨウ素)、乳酸、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、ベータカロテン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン)、アミノ酸類(タウリン、トリプトファン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物)
一方で、「〇〇エキス」もよく使っています。これはオイルコーティングに使用されていると考えられます。
オイルコーティング(=粒の表面を油で覆うこと)により、犬が「いいにおい」を感じやすくなります。
オイルコーティング自体がすべて悪いわけではありませんが、粒がべたつきやすい傾向があります。
実際ヒルズのドライフードは「手で触るとべたつく」といった声が散見されます。
ロイヤルカナン
ロイヤルカナンがよく使う主原料としては、以下のものがあります。
- 鶏
- 七面鳥
- 米
また「加水分解〇〇」という原材料もよく使います。加水分解とは、分子をこまかくする製造方法のことです。
加水分解により消化に配慮していると考えられます。
プードル 中・高齢犬用(総合栄養食)の原材料
とうもろこし、肉類(鶏、七面鳥)、米、動物性脂肪、植物性分離タンパク*、コーングルテン、加水分解タンパク(鶏、七面鳥)、ビートパルプ、大豆油、魚油(EPA/DHA源)、乾燥トマト、酵母および酵母エキス、サイリウム、フラクトオリゴ糖、加水分解酵母(マンナンオリゴ糖源)、ルリチシャ油、緑茶抽出物(ポリフェノール源)、加水分解甲殻類(グルコサミン源)、マリーゴールド抽出物(ルテイン源)、加水分解軟骨(コンドロイチン硫酸源)、アミノ酸類(タウリン、L-チロシン、L-シスチン、L-カルニチン、L-リジン、L-トリプトファン)、ゼオライト、ポリリン酸ナトリウム、β-カロテン、ミネラル類(Cl、K、Ca、Na、Mg、Mn、Zn、Fe、Cu、I、Se)、ビタミン類(コリン、E、ナイアシン、C、パントテン酸カルシウム、B6、B2、B1、葉酸、A、ビオチン、B12、D3)、保存料(ソルビン酸カリウム)、酸化防止剤(BHA、没食子酸プロピル)*超高消化性タンパク(消化率90%以上)
消化器サポート低脂肪(療法食)の原材料
米、肉類(鶏、七面鳥)、小麦、大麦、加水分解タンパク(鶏、七面鳥)、ビートパルプ、動物性油脂、酵母および酵母エキス、魚油(EPA/DHA源)、サイリウム、フラクトオリゴ糖、加水分解酵母(マンナンオリゴ糖源)、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、アミノ酸類(タウリン、DL-メチオニン、L-リジン)、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル)、ゼオライト、ミネラル類(Cl、Na、Ca、K、P、Zn、Mn、Fe、Cu、I、Se)、ビタミン類(A、D3、コリン、E、C、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、B6、B1、B2、ビオチン、葉酸、B12)、保存料(ソルビン酸カリウム)、酸化防止剤(BHA、没食子酸プロピル)
添加物には、気になる点がいくつかあります。
1点目は酸化防止剤に「BHA」が必ず使われていることです。
BHA自体は量を守れば問題ないですが、規定量を超えると発がん性が指摘されている物質です。これを気にする方は多いです。
→BHAなど合成の酸化防止剤の使用は、廃止されました。(公式サイトでの発表)
2点目は「ゼオライト」が入っていることが多いことです。
ゼオライトも人間の食品添加物にもなっているので問題はありませんが、ペットシーツなどにも使われる吸水性の高い物質です。
よって「便が固くなりやすい」という口コミも少なくない印象があります。
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購入方法
まず先に、大まかなまとめを作りました。
ヒルズ |
ロイヤルカナン |
|
総合栄養食 |
|
|
療法食 |
|
|
ヒルズ
ヒルズの総合栄養食(サイエンスダイエット)は、ホームセンターやドラッグストア、スーパーなどのリアル店舗でも購入できます。
またAmazonや楽天市場などにも多数出品されています。
療法食は、動物病院またはAmazon・楽天市場などのネット通販で販売されています。
ロイヤルカナン
ロイヤルカナンの総合栄養食は、リアル店舗だとペットショップで購入できます。
あるいは一般的なネット通販(Amazonなど)、公式オンラインストアでも販売されています。
公式オンラインストアだと、ポイントやオリジナルグッズなどの特典があります。
療法食は、動物病院またはネット通販で販売されていますが一部の療法食は、動物病院でしか買えないものがあります。
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価格
価格についても比較してみました。
総合栄養食と療法食で2つずつ、コンセプトの似たものを比較しています。
ただしタイミングや購入場所によって、価格は変わるのでご注意ください。
比較の条件
- 同じ状況を想定したフードであること
- Amazonの最安値で比較(記事公開時点)
総合栄養食
ヒルズとロイヤルカナンで袋のサイズが違います。
正確に比較するために「1㎏あたりの価格」に換算し、各セルの下段に記載しています。
※製品写真をタップすると、Amazonのサイトに移動して最新の最安値を検索できます。
ヒルズ アダルト1~6歳 |
ロイヤルカナン 柴犬 成犬用 |
|
小さい袋 | 1,473 円(1.4㎏)
1,052 円 |
1,798 円(800g)
2,248 円 |
中くらいの袋 | 2,436 円(3.3kg)
738 円 |
4,095 円(3㎏)
1,365 円 |
ヒルズ シニア 7歳~ 小型犬用 |
ロイヤルカナン プードル 中・高齢犬用 |
|
小さい袋 | 880 円(750g)
1,173 円 |
2,048 円(800g)
2,617 円 |
中くらいの袋 | 1,491 円(1.5kg)
994 円 |
2,803 円(1.5㎏)
1,868 円 |
大まかに言うと、ロイヤルカナンはヒルズの2倍くらいの金額設定になっています。
療法食
療法食についても、同様に比較してみます。
療法食は、どちらのメーカーもサイズがほぼ同じのため、1㎏あたりへの換算はしていません。
消化ケア
ヒルズ i/d ローファット |
ロイヤルカナン 消化器サポート低脂肪 |
|
1㎏ | 2,355 円 | 2,218 円 |
3kg | 4,800 円 | 4,984 円 |
尿ケア
ヒルズ c/d |
ロイヤルカナン ユリナリーS/O |
|
1kg | 2,200 円 | 2,045 円 |
3kg | 4,891 円 | 5,273 円 |
療法食の価格はどちらもほとんど変わらずで、傾向も特につかめませんでした。
「ヒルズとロイヤルカナンの比較」は以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!