少しでも何か対策をしてあげたいんだけど、どうすればいいのかな?
上記のような疑問や不安への答えを、ペット栄養管理士が解説していきます。
この記事でわかること
猫の腎結石とは?
猫の腎結石とは文字通り
腎臓にできる結石
のことです。
これだけでは想像がしにくいと思いますので、図解してみます。
(人体のイラストを使っていますが、大まかな構造はほぼ同じです)
泌尿器系の全体像
①腎臓:尿をつくる
②尿管:尿を膀胱におくる
③膀胱:尿をためる
という大きな役割があります。
(尿の流れをおぼえておくと、この記事もより読みやすくなります。)
そのなかで、腎臓にできる結石のことを「腎結石」といいます。
また、尿管にある結石(尿管結石)の含めて「腎結石」ということもあります。
※結石ができる場所によって、結石の呼び方が変わります。(腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石・・・)
腎結石はレントゲンやエコー、CTなどの検査などで発見されます。
メモ
もともと猫は砂漠にすむ生き物でした。
水をたくさん飲める環境でなかったため、泌尿器(腎臓・尿管・膀胱・尿道など)に病気が出やすいといわれています。
写真はイメージです
猫の腎結石は治る?
結石の種類は1つではなく、成分がそれぞれ違います。
そのなかで猫にできやすい結石は2種類あります。
- シュウ酸カルシウム結石
- ストルバイト結石
結論としてはどちらの種類であったとしても、
猫の腎結石は治るものではない。病気と付き合っていくもの。
といえます。
ただ、それぞれで治療のパターンが異なりますので、分けて解説します。
シュウ酸カルシウムの場合
腎結石で多いのは「シュウ酸カルシウム」です。
- シュウ酸
- カルシウム
という2つの物質が結合したものです。
シュウ酸カルシウムは体内で溶かすことができないため、手術が必要になります。
ただし高度な手術であること、そこまで腎結石は大きくなりにくいことから、経過観察になることも多いです。
なので、現実的に切開手術が多いわけではありません。
尿管に結石があるほうがやっかいといえるケースもあります。
尿管に石がつまってしまい、急性腎不全などを起こす可能性があるからです。
尿管に石がある場合、尿管の手術も難しいため、膀胱に石が落ちるようすることもあります。(膀胱の手術のほうが簡単)
具体的には、
- 尿管に流れる水(尿)を増やすため、利尿剤や点滴を使う
- 尿管をひろげる薬を使う
等があります。
そして膀胱に落ちた結石を手術でとりだします。
ストルバイトの場合
腎結石の種類が、ストルバイトであることは少ないです。
ただストルバイトだった場合、シュウ酸カルシウムよりも楽な治療になります。
ストルバイトは、体内で溶かすことができます。(手術が不要)
具体的には、ストルバイトの溶解に配慮した療法食に変更をします。
腎結石であれ尿管結石であれ、1か月~2か月前後で結石を溶かせることが多いです。
スポンサーリンク
腎結石の予防
体内に結石がなくなったあとは、再発しないよう予防していくことが大切です。
ただ腎結石ができる原因が分かっていないため、
「これをやっておけば大丈夫」という予防策がないのが現状です。
逆に言うと「やれることをやる」しかないとも言えます。
具体的には、以下の方法が「やれること」として考えられています。
- 利尿作用をもたらす
- 水を飲む量を増やす
- フードを変更する
補足をしていきます。
利尿作用をもたらす
尿を出しやすくすれば(利尿作用)、結石はできづらくなります。
よって利尿作用は、腎結石の予防になります。
薬やサプリメントを使って、利尿効果をもたらすことが可能です。
かかりつけの先生に相談するとよいでしょう。
水を飲む量を増やす
サプリや薬を使わずに「水を飲む量を増やす」ことができれば、自然な利尿作用が期待できます。
以下の方法が、飲水量を増やすのに有効です。
- 水飲みボウルを家の数か所に設置する
- 噴水器やぬるま湯など、好みの水を見つける
- 水にニオイをつける
水飲みボウルは家の中で、数か所に設置しましょう。
1か所に設置してある時より、飲水量が増えるという研究があります。
また猫は個体ごとに「好みの水」が違います。
ぬるま湯だったり、蛇口からポタポタこぼれるみずだったり、噴水器の水だったり・・・
それを見つけられれば、水を飲む量が増えます。
また「ささみやカツオ節のゆで汁」を数滴水にたらしておくと、水がおいしくなります。
よって、飲水量が増える可能性がUPします。
メモ
あくまで「ゆで汁」を「数滴」です。
ささみやカツオ節をそのまま与えると、結石のリスクがあがってしまいます。
フードを変更する
腎臓にできた結石の種類によって、食事療法をおこなうこともあります。
- ストルバイト ⇒ ストルバイトの形成に配慮したフード
- シュウ酸カルシウム ⇒ シュウ酸カルシウムの形成に配慮したフード
という具合です。
フードの成分が腎結石の原因になる可能性もあるからです。
本記事は以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!