どうしてなの?
低分子プロテイン+pHコントロールは、2019年終盤からリニューアルをし、それに伴って購入方法も変更になりました。
ペット栄養管理士の筆者が、やさしく解説していきます。
この記事でわかること
低分子プロテイン+pHコントロールとは?
低分子プロテイン+pHコントロールは、ロイヤルカナンの犬用療法食です。
以下の2つのケアをする目的で作られています。
- 食物アレルギー
- 尿石(ストルバイト、シュウ酸カルシウム)の形成
食物アレルギーには「加水分解タンパク質」を使って配慮しています。(ただし米アレルギーには非対応)
「ミネラルの制限」「pHの調整」を行うことで、尿石の形成に配慮しています。
「食物アレルギーと尿石形成」の両方に配慮した療法食は、あまりないのが実情です。
そういった意味で、低分子プロテイン+pHコントロールは2つの病気を持つ犬にとって、大変貴重なフードだと言えます。
低分子プロテイン+pHコントロールは終売?
しかし、低分子プロテイン+pHコントロールは、2019年終わりごろから購入しづらくなっています。
具体的には
- ネット上で値段が高騰している(添付写真)
- ネット上で取り扱いが減った
- 動物病院での取り扱いがなくなった
などです。
ネット価格の高騰の例
※8㎏サイズが35,632円に!(定価:13,500円)
実は、pHコントロール+低分子プロテインは「ユリナリーS/O+低分子プロテイン」という名前にリニューアル(統合)されています。
その影響で各所で取り扱いができなくなっていき、価格も高騰しているということです。
ユリナリーS/O+低分子プロテイン
「ユリナリーS/O+低分子プロテイン」と「pHコントロール+低分子プロテイン」は、まったく同じコンセプトです。
公式サイトを見ると分かります。
- 尿中のストルバイトやシュウ酸カルシウムの飽和度が高くない健康的な尿量を維持するように、ミネラルなどの栄養バランスを調整。
- 高消化性で食物アレルギーの原因となりにくい低分子ペプチド源として、加水分解大豆タンパクを使用。
(ロイヤルカナン公式サイトの、ユリナリーS/O+低分子プロテインのページより引用)
なので、pHコントロール+低分子プロテインを購入したい方は、今後は「ユリナリーS/O+低分子プロテイン」を購入するとよいでしょう。
ユリナリーS/O+低分子プロテインの基本情報
【価格とサイズ】
- 1㎏:3,201円
- 3㎏:7,839円
【原産国】
フランス
【原材料】
米、加水分解大豆タンパク(消化率90%以上)、動物性油脂、チコリー、大豆油、植物性繊維、魚油、フラクトオリゴ糖、脂肪酸塩、ルリチシャ油、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、アミノ酸類(タウリン、DL-メチオニン)、ゼオライト、ミネラル類(Cl、Na、K、Ca、P、Zn、Mn、Fe、Cu、I、Se)、ビタミン類(コリン、D3、E、ナイアシン、パントテン酸カルシウム、B6 、B2 、B1、葉酸、A、ビオチン、B12)、保存料(ソルビン酸カリウム)、酸化防止剤(BHA、没食子酸プロピル)
【粒の形】
【成分】
タンパク質 | 21.6 g |
脂肪 | 16.2 g |
食物繊維 | 7.4 g |
灰分 | 8.9 g |
水分 | 10.2 g |
炭水化物 | 48.3 g |
カルシウム | 0.5 g |
カリウム | 0.86 g |
リン | 0.54 g |
マグネシウム | 0.04 g |
鉄 | 17.1 mg |
銅 | 1.62 mg |
亜鉛 | 18.3 mg |
ナトリウム | 1.40 g |
EPA+DHA | 388 mg |
タウリン | 0.22 g |
アルギニン | 1.53 g |
ビタミンE | 76.5 mg |
ビタミンB群 | 91.77 mg |
カロリー(100gあたり) | 371kcal |
※400kcalあたりの栄養素量
メモ
ロイヤルカナンには、「pHコントロールV2+低分子プロテイン」というフードもありました。
こちらも、ユリナリーS/O+低分子プロテインに統合される形になっています。
公式サイトより引用
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ユリナリーS/O+低分子プロテインの購入法は?
・・・
あれ、検索しても出てこないんだけど、なんで??
実は、ユリナリーS/O+低分子プロテインは「Amazon」や「楽天市場」などの大手通販サイトでは購入できません。
メーカーによって流通がコントロールされているからです。
購入できるのは以下の2つの方法です。
- 動物病院に行って購入する
- 公式オンラインサイトで購入する
1についてですが、かかりつけの病院で「ユリナリーS/O+低分子プロテイン」を取り扱っていないこともあります。
事前に電話などで確認するのがおススメです。
2については、ページの閲覧はだれでも可能です。
ただ、購入には動物病院から発行されるID・パスワードが必須です。かつ、かかりつけ病院でもそれらを発行していないことが多々あります。
こちらも事前に確認するのが無難です。
そうなんだあ。
でもAmazonとかで買える方がありがたいんだけど・・・
くり返しですが、ユリナリーS/O+低分子プロテインを通販サイトで買う方法はありません。
ですが、「通販サイトで買えて、アレルギーと尿石の形成に配慮されたを選ぶ」、という方法なら可能です。
そういった商品を3つ紹介してみます。
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ユリナリーS/O+低分子プロテインの代替品
まず初めに、3つのまとめを作成しました。
z/d | インテグラ | アゼット | |
タンパク源 | 加水分解チキン |
|
|
サイズ |
|
|
|
バリエーション |
|
缶詰 | なし |
カロリー(/100g) | 362kcal | 386kcal | 315.5kcal |
原産国 | チェコ | ドイツ | タイ |
タイプ | 療法食 | 療法食 | 総合栄養食 |
では1つずつ紹介していきます。
z/dウルトラ
z/d ウルトラは、ヒルズから発売されている食物アレルギー用の療法食です。
低分子プロテイン+pHコントロールと同じ、加水分解タンパク質を使っています。
それ以外に、アレルゲンになりうる原材料は入っていません。
原材料を見ながら解説します。
コーンスターチ、加水分解チキン、植物性油脂、セルロース、動物性油脂、ミネラル類(カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、クロライド、マグネシウム、銅、鉄、マンガン、亜鉛、ヨウ素)、乳酸、ビタミン類(B1、B2、B6、B12、C、D3、E、ベータカロテン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン)、アミノ酸類(タウリン、トリプトファン、メチオニン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物)
アレルギーの原因になるのは「タンパク質」です。
上記の原材料で、タンパク質が入っていそうなものは以下の2つです。
- コーン(トウモロコシ)
- チキン(加水分解チキン)
ですが、1のコーンは「スターチ(=でんぷん)」に加工されています。
つまりタンパク質が除去されていると考えられ、トウモロコシアレルギーに配慮されています。
また2も、チキンのタンパク質を分解することで、チキンアレルギーにも配慮されています。
原材料を見る限り、この2つ以外にタンパク質は入っていません。
で、尿石ケアのほうはどうなの?
z/d ウルトラのパッケージの左上には、「S+OX」と書かれたマークが付けられています。
これは、以下の意味をあらわしています。
- S=struvite(ストルバイト)
- OX=oxlate(シュウ酸(カルシウム))
つまり、ストルバイト尿石とシュウ酸カルシウム尿石の形成に対応している、ということですね。
具体的には、尿石の構成分となるミネラルの調整を行っていると考えられます。
ミネラル量について、低分子プロテイン+pHコントロールと比較してみます。
尿石の材料になるミネラル量(400kcalあたり)
z/d ウルトラ | 低分子 | |
リン | 0.55 g | 0.83 g |
マグネシウム | 0.072 g | 0.07 g |
カルシウム | 0.704 g | 1.1 g |
※
リン・マグネシウム: ストルバイトの構成成分
カルシウム: シュウ酸カルシウムの構成成分
z/d ウルトラのほうが上記のミネラルが少ないことが分かります。
上記を含めたz/d ウルトラのメリットは以下の通りです。
一方、デメリットは以下のことが挙げられます。
- ナトリウムが低く、尿の量は増えない
尿石への対応のために、尿量を増やすことはできないということです。
ただし、ナトリウム(≒塩分)が低いのは「シニア犬でも使いやすい」というメリットでもあります。
販売歴も長く、口コミも豊富です。気になる方は見てみてください。
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インテグラプロテクト アレルギーケア
インテグラプロテクト アレルギーケア(以下、インテグラ)は、アニモンダの療法食です。
加水分解タンパクを使ったものではなく、「珍しい原材料を使ってアレルギーに配慮する」というフードです。
具体的には以下の原材料を使っています。
ドライポテト、ラビットミール、牛脂肪、ポテトタンパク、リグノセルロース、ラビットレバー、キャノーラオイル、サーモンオイル、 塩化ナトリウム
この中で、アレルゲンになりうる原材料は以下の2つです。
- ポテト
- ラビット(ウサギ)
なので、「ポテトとラビットのアレルギーは心配していない」という方は、安心して使うことができます。
また尿のpHを調整することで尿石への配慮している、と公式HPで以下の記載がされています。
INTEGRA®PROTECT Sensitiveは食物不耐性(痒み/下痢)のあるイヌ用に特別に開発された療法食です。
動物および植物タンパク源をひとつだけに絞りました(穀物不使用)。
このフードは、同時にストルバイトとシュウ酸カルシウム結石の形成を防ぎます。(尿pH 6.7)
上記を含め、インテグラのメリットをまとめてみます。
- 尿のpHを調整。
- 700gの小さいサイズがあり、鮮度を保ちやすい。
- ウェットタイプのバリエーションが5つある。
- ヒューマングレードの原材料を使っている。
一方、デメリットとしては以下が挙げられます。
- ウサギとポテトアレルギーでは使えない。
- 尿石の材料となる成分(ミネラル量)は非公表。
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缶詰タイプ ↓↓
アゼット アレルギーケア
アゼット アレルギーケアは、アゼットジャパン(株)から発売されている総合栄養食です。
「珍しい原材料を使ってアレルギーに配慮回避する」という対応をしています。
使われている原材料を見てみます。
ラムミール、タピオカ、ポテトスターチ、牛脂、動物たんぱくエキス、ミネラル類(クロライド、カリウム、ナトリウム、カルシウム、亜鉛、リン、鉄、マンガン、銅、ヨウ素、セレン)、ビタミン類(A、D3、コリン、E、ナイアシン、C、パントテン酸、B2、B1、B6、葉酸、ビオチン、K3、B12)、チキンオイル、ひまわり油、ツナオイル、レシチン、オリゴ糖、メチオニン、タウリン、トリプトファン、チロシン、月見草油、保存料(プロピオン酸)、エステル化グルコマンナン、グルコサミン・コンドロイチン硫酸、ユッカエキス、エンザイム(酵素)
この中で、アレルゲンになりうる原材料は以下の3つです。
- ラム
- タピオカ
- ポテト
なので、「ラム、タピオカ、ポテトのアレルギーへの配慮は必要ない」というときに使うことができます。
pHの調整により尿石の形成に配慮している、と公式HPで記載がされています。
ph調整が重要!犬の尿路結石に配慮
ただし具体的なpHの設定はありません。
またこのフードは総合栄養食であり、療法食ではありません。
上記を含め、アゼット アレルギーケアのメリットは以下があります。
- 本記事内でいちばんの低カロリー。(315.5kcal/100g)
- 総合栄養食であり、試しやすい。
- 10㎏の大袋があり、大型犬に対応しやすい。
一方のデメリットは、以下のことが挙げられます。
- 療法食ではない。
- ラム、タピオカ、ポテトアレルギーがあると使えない。
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「低分子プロテイン+pHコントロール」についての記事は、以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!