「フリーズドライのフードはおいしいからよく食べる」って聞いたんだけど、どんなフードがいいのかな?
フリーズドライのフードは近年増えてきましたが、その実態をよくわからない方も多いでしょう。
そこで、上記のような疑問を持つ方に向けて、ペット栄養管理士の筆者が開設していきます。
この記事でわかること
フリーズドライドッグフードとは?
フリーズドライのドッグフードは、一般的なドッグフードとは製法が異なります。
一般的なフード | こまかくした原材料を混ぜ合わせ、加熱する。 |
フリーズドライ | こまかくした原材料を混ぜ合わせ、凍結させて真空状態におくことで、水分を抜く。 |
ざっくりいうと、加熱処理していないのがフリーズドライの特徴です。
また水分量もかなり低くなります。(全体の5%以下など)
フリーズドライフードのイメージ
(レティシアンHPより)
この特徴により、以下のようなメリットが出てきます。
メリット
- 加熱による栄養素の減少がない
- 味・においが強い状態がキープされている
- 砕きやすく、ふりかけのように与えやすい
高温で加熱すると一部の栄養素は減少してしまいますが、フリーズドライにそれはありません。
また素材の味やにおいもキープされやすくなるため、食べつきがよくなることが多いです。
また水分が抜かれているため砕きやすく、においづけのふりかけのようにも使えます。
デメリット
一方で、以下のようなデメリットもあります。
- ランニングコストが高い
- 毎回、あげるのにひと手間かかる
上記のような特殊な製法のため、一般的なフードよりは値段が高くなりがちです。
また水分がほとんどなく「水でもどしてから与える」ことが多いため、あげるのにひと手間かかります。
味、トッピング使い、ふやかしやすさを比較してみた
ということで、実際の商品を取り寄せて比較してみました。
今回は、この5商品を用意しました。
比較するフード
- モグキューブ
- K9ナチュラル
- アディクション
- ビルジャック
- ドットわん
※ビルジャックは厳密にはフリーズドライのドッグフードではありませんが、「水にふやけやすい」、「トッピング使いしやすい」などフリーズドライフードと似た特徴を持っているため、今回の比較に入れています。
またアディクションも正確には「フリーズドライ」ではなく、「低温乾燥」フードです。
左から、ドットわん、K9(2種類)、モグキューブ、ビルジャック、アディクション
比較するポイントは、以下の3つです。
- おいしさ(味とニオイ)
- おやつやトッピングとしての使いやすさ
- ふやけやすさ
おいしさ(味とニオイ)
まずはうちの愛犬を使って、食べ比べテストをしました。
5種類のフードを数粒ずつお皿に入れ、1種類ずつにおいを嗅がせます。
今にも食べつきそうで、ずっと見つめています。
そして5種類を等間隔に並べ、前にセッティング。
「よし!」の合図で、テスト開始です!
まず最初に食いついたのは、モグキューブです。
そして次にアディクション。
ですがアディクションは少し残して、となりのドットわんへ。
ドットわんを食べ終えた後、アディクションに戻り完食。
そしてK9へ。
最後に、ビルジャックへ。
すべて完食したので「すべておいしく食べた」ということになり、あまり参考にならないかもしれませんが・・・
順位をつけると以下のようになりました。
おいしさランキング
- モグキューブ
- ドットわん
- アディクション
- K9
- ビルジャック
ちなみに筆者自身がにおいを嗅いだ感じだと、以下のように感じました。
もぐキューブ | 人間が嗅いでもおいしそう。駄菓子の「蒲焼屋さん太郎」に似ている。 |
ドットわん | ニオイはほとんどない。 |
アディクション | ニワトリのエサのようなにおい。 |
K9 | 「エグさ」のあるにおい。動物は好きかも。 |
ビルジャック | よくあるドッグフードのにおい。 |
おやつ・トッピングとしての使いやすさ、ふやけやすさ
おやつやトッピングのしやすさについては、以下のポイントを見ていきます。
- 形状
- 触った時の感覚、くずれやすさ
- すりつぶしやすさ
ふやけやすさについては、水にもどすのに何秒かかったかを測定しました。
モグキューブ
モグキューブの形状は、ゴロゴロした直方体です。
とても軽く、指で簡単にすりつぶせました。
粉末状になるという感じではなく、うすい塊が残るような感じになります。
すりつぶしていても、手にベタベタ感が残らないのが良かったです。
なので、主食としてもつかえますが、「おやつとしてあげる」「すりつぶしてふりかけにする」などでも使いやすいです。
次にふやけやすさを見ていきます。
水を入れたお皿にモグキューブを入れてみます。
1分経っても大きな変化はありませんでした。
スプーンで押しつぶしてみました。
どんどん潰れるという感じではなく、塊がいくつも残るような感じです。
なので「ふやけやすい」とは言えない感じでした。
商品情報
原材料 | ラム肉、ラム肺、ラムレバー、ラム気管、紫イ貝、エンドウ豆、緑イ貝、ミネラル類(リン酸ニカルシウム、塩化カリウム、塩、塩化コリン、酸化マグネシウム、亜鉛アミノ酸キレート、鉄アミノ酸キレート、セレン酵母、銅アミノ酸キレート、マンガンアミノ酸キレート、ヨウ素酸カルシウム)、海藻、アマニ、卵、魚油、ブロッコリー、リンゴ、ココナッツ、ヒマワリ油、酸化防止剤(ミックストコフェロール)、ビタミンD |
袋のサイズ | 425g |
原産国 | ニュージーランド |
おすすめの使い方 | 主食・トッピング・おやつ |
ドットわん
ドットわんには複数のバリエーションがありますが、今回「チキン味」を使っています。
形状は、ささみをぶつ切りしたような感じです。
「8g」という超小容量のサイズもあるので、おやつとしてはかなり使いやすいです。
また、簡単にすりつぶすこともできます。ベタベタ感もありません。
すりつぶすと、かなり細かい粉末状になります。ふりかけなどトッピングとしてもかなり使いやすいです。
※ちなみにドットわんは「副食」なので、主食として使うことはできません。
次にドットわんをふやかしてみます。
水を入れたお皿にドットわんを入れると、スポンジのようにどんどん水を吸っていきます。
30秒ほどたつと、気泡が出てきました。
フリーズドライ加工をしたときにできる分子の隙間に、水が入り込んでいっている証です。
1分経つと、しっかり水がしみ込んだのが分かります。
スプーンで軽く押しつぶすことができ、湯がいたササミをほぐしたようになります。
以上より、ドットわんは「主食としては使えないが、おやつやトッピングとしてかなり優秀」と言えそうです。
ラインナップがたくさんあるのも、うれしいポイントです。
- チキン
- 納豆
- 野菜
- りんご
- チーズ
商品情報(チキン)
原材料 | 国産鶏肉 |
袋のサイズ | 10g~150g |
原産国 | 日本 |
おすすめの使い方 | トッピング・おやつ |
アディクション
アディクションのフリーズドライは、もとから粉末状になっています。
なので、ふりかけとしてのトッピングには、かなり使いやすいです。
逆に、手からおやつであげることはできません。
「ふやかしやすさ」ですが、1分ほど水に入れてみると水に浮いてしまう感じになります。
すんなり溶けるというわけでもなく、ふやかしやすさという点ではいまいちです。
アディクションのフリーズドライは総合栄養食なので主食として使えますが、粉末だと主食としてあげるのも難しいと思います。
お皿に粉末を入れても食べづらいので・・・
なので、「ふりかけ使い」の一択かと個人的には考えます。
- チキン&アプリコット
- ビーフ&ズッキーニ
- ブラッシュテイル ※
- ラム&ポテト
- ベニソン&クランベリー
- カンガルーフィースト
※ブラッシュテイルとは小型の有袋類
商品情報(チキン)
原材料 | 鶏生肉、オーツ麦、ポテト、ニンジン、フラックスシード、ココナッツオイル、パパイヤ、アプリコット、クランベリー、ブルーベリー、マンゴー、アップル、バジル、ローズマリー、タイム、ペパーミント、ほうれん草、天然フレーバー、タピオカ、醸造用酵母、シーソルト、硫酸マグネシウム、塩化コリン、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、硝酸チアミン、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、塩酸ピリドキシン、葉酸、ビタミンB12、硫酸第一鉄、硫酸銅、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、ヨウ素酸カルシウム、亜セレン酸ナトリウム、硫酸コバルト、タウリン、緑茶エキス、ローズマリーエキス、スペアミントエキス、酸化防止剤(ミックストコフェロール) |
袋のサイズ | 250g~ |
原産国 | ニュージーランド |
おすすめの使い方 | トッピング |
K9(ケーナイン)
K9のフリーズドライは、円柱形になっています。
15gの超小容量があるので、おやつや「お試し使い」がしやすいと思います。
フリーズドライの状態をすりつぶしてみます。
軽い力ですりつぶせるのですが、どうにも手にベタベタ感が残ります。
おそらくすりつぶしているときに、粒の中の脂肪分が染み出てくるためと思われます。
ですので、「すりつぶしてふりかけとして与える」という時には使いづらいです。
次に水を入れたお皿にK9のフリーズドライを入れてみます。
1分ほどたっても見た目に大きな変化はありません。
スプーンで軽く押してみると、すんなりつぶれました。
まとめると、K9のフリーズドライは「おやつ使いはできるが、ふりかけとしては使いにくい」。
主食としても使えます。
ラインナップは以下の通りです。
- チキン
- ラム&キングサーモン
- ラム
- ビーフ
- ホキ(魚)&ビーフ
商品情報
原材料 | 鶏肉(人間食用の家禽から生産される)、卵、フラックスシードフレーク、ホキ(白身魚)オイル、昆布、ニュージーランド緑イ貝、かぼちゃ、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、硫酸カリウム、乾燥昆布、りんご、洋なし、塩化ナトリウム、ビタミンE、プロティネイト亜鉛、プロティネイト鉄、ひまわり油、酸化マグネシウム、セレン酵母、プロティネイト胴、プロティネイトマンガン、ベータカロチン、ビタミンB1、ビタミンD3 |
袋のサイズ | 15g~ |
原産国 | ニュージーランド |
おすすめの使い方 | 主食・おやつ |
ビルジャック
最後にビルジャックです。
細い円柱形になっています。
手でつぶそうとすると意外に固く、ポキっと折れる感覚です。
ベタベタ感はありませんが、小さく折れた部分をすりつぶすのにもちょっと固いです。
なのでおやつとしては使えるが、「すりつぶしてふりかけとして使う」ということはしづらいです。
次に水でふやかしてみます。
30秒くらいたったところで気泡が出てきました。
水が分子のすき間にしみこんでいっている証拠です。
最終的にスプーンでつぶしやすく、5商品の中でふやけやすさはトップクラスでした。
ということで、ビルジャックは「すりつぶしにくいが、ふやけやすい」となりました。
主食として使うこともできます。
ラインナップは、年齢別に分かれています。
- パピー(子犬用)
- アダルト(成犬用)
- シニア(高齢犬用)
- リデュースファット(肥満犬用)
商品情報(スモールブリードアダルト)
原材料 | 鶏、鶏の副産物(アルギニン源である鶏の内臓のみ)、トウモロコシミール、鶏の副産物、乾燥甜菜果肉、オートミール、さつまいも、醸造用乾燥イースト、亜麻仁、塩化コリン、プロピオン酸ナトリウム(保存料)、DL-メチオニン、L-リジン、第一リン酸カルシウム、ビタミンE補強剤、炭酸カルシウム、L-アスコルビル酸-2-ポリリン酸(ビタミンC源)、亜鉛プロテイン、酸化亜鉛、銅プロテイン、ラクトバチルスアシドフィルス菌乾燥発酵物、ラクトバチルスカゼイ菌乾燥発酵物、ビフィドバクテリウムアニマリス菌乾燥発酵物、乾燥ブルーベリー、乾燥クランベリー、乾燥りんご、ビタミンA酢酸塩、硫酸銅、イノシトール、ナイアシン補強剤、ビオチン、亜セレン酸ナトリウム、パントテン酸D-カルシウム、マンガンプロテイン、リボフラビン補強剤、硝酸チアミン、ビタミンB12補強剤、塩酸ピリドキシン(ビタミンB6)、酸化マンガン、炭酸コバルト、混合トコフェロールおよびBHA(酸化防止剤)、ビタミンD3補強剤、ヨウ化カリウム、葉酸、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物、スペアミント抽出物 |
袋のサイズ | 800g~ |
原産国 | ニュージーランド |
おすすめの使い方 | 主食・おやつ |
スポンサーリンク
フリーズドライのドッグフードまとめ
最後に、ここまでの内容を表にまとめてみます。
モグキューブ | ドットわん | アディクション | K9 | ビルジャック | |
味とニオイ | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 |
おやつやトッピング使いのしやすさ | A | A | C | A | B |
すりつぶしやすさ | B | A | A | C | C |
ふやけやすさ | B | A | C | B | A |
主食で使える? | 〇 | NG | 不適 | 〇 | 〇 |
(A:よい B:ふつう C:よくない)
本記事は以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!