うちの犬は「ささみ」が好きなんだけど、この前腎臓の数値が高くなっちゃってて・・・
今まで通り、ささみをあげて大丈夫かな?
ささみを「おやつ」や「フードへのトッピング」としてあげている方も多いかと思います。
ただ腎臓のケアにとって、ささみはよいのでしょうか?
ペット栄養管理士の筆者が解説していきます。
※この記事では便宜的に、腎臓の数値が高いこともまとめて「腎臓病」と表記しています。
犬の腎臓病では食事管理が重要
腎臓病は完治することはなく、「進行を遅らせること」が治療の考え方になります。
そして治療には食事管理が重要です。
なぜなら、栄養分(食べ物)が腎臓病にダイレクトに関わっているからです。
腎臓は「リン」と「タンパク質」が元でできる老廃物を処理しています。
つまりこれらの栄養素は、腎臓に負担をかけやすいということです。
なので腎臓の健康維持のためは、リンとタンパク質の量に配慮すること必要です。
また、血圧の維持にも配慮し、ナトリウム(塩分)も同様です。
まとめると、以下の栄養素に気を付けることが必須だということです。
腎臓病の犬が配慮すべき栄養素
- リン
- タンパク質
- ナトリウム
では「ささみ」は、これらの栄養素の含有量についてどうなのでしょうか?
腎臓病の犬にささみをあげるのは危険?
結論から書くと「腎臓病の犬にささみをあげないほうがいい」です。
栄養バランスが偏っているためです。
「ささみの栄養バランス」と「腎臓病の時におすすめの栄養バランス」を比較してみます。
ささみ | 腎臓病のときの推奨 | |
タンパク質 | 91% | 17.5% |
リン | 0.91% | 0.35% |
ナトリウム | 0.15% | 0.3% |
※乾物量分析値
※ささみの成分は、食品成分データベースを参照
ささみは圧倒的に「高タンパク・高リン」であることが分かります。
よって、犬の健康を第一に考えるのであれば、ささみはあげないほうがよいです。
もしどうしてもささみを使いたい!ということであれば、「ささみのゆで汁」を使いましょう。
フードにかけたり、飲み水に混ぜるだけでささみの風味を感じ、満足度がUPします。
タンパク質やリンの過剰にもつながりにくいです。
ポイント
ただ症状が悪化して「他のものは何も食べないけれど、ささみだけは食べる」という状況なら、ささみも選択肢になります。
何も食べない、というのがいちばん良くないことだからです。
※上記は一般論であり、その時の状態も異なるため、かかりつけ医の指導をうけることをおすすめします。
また参考までに、タンパク質やリン、ナトリウムが多い食材を一覧にまとめておきます。
タンパク質が多いもの
- 鶏肉
- 牛肉
- 豚肉
- 砂肝
- レバー
- ハム
- ソーセージ など
ざっくりいうと「肉類」。
腎臓病の時に避けるべきなのは特に「動物性タンパク質」です。
大豆や乳製品もタンパク質は多いですが、「植物性タンパク質」に分類されるので、ここでは割愛しています。
リンが多いもの
- ヨーグルト
- 牛乳
- チーズ
- ナッツ
- アーモンド
- 小魚(骨ごと食べる魚) など
ざっくりいうと「乳製品」「豆類」「魚類」。
また肉類もリンは多めです。
ナトリウムが多いもの
- チーズ
- ハム
- ソーセージ
- 煮干し など
ざっくりいうと「人間用の加工食品」はすべて、犬にとっては高ナトリウムです。
うちの犬はささみが好きだったから残念・・・
じゃあどんなものならあげて大丈夫なの?
ではここから、「おやつやトッピングとして、腎臓病に配慮しやすい食べ物」を紹介してきます!
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腎臓ケアのために使いやすいおやつ
まず、まとめを書きます。
腎臓の健康に配慮しやすい食べ物
- 腎臓ケアのおやつ
- 野菜
- 果物
ひとつずつ解説していきます。
※いずれのおやつも、あげすぎには注意しましょう。与える量は、「あげているフード量の1割くらい」を目安にすると安心です。
腎臓ケアのおやつ
いちばん安心してあげられるのは「腎臓病の犬に配慮されていることが明記されたおやつ」です。
たとえば「療法食おやつ」や「獣医師監修のおやつ」などです。
一例としては、トリーツ(ヒルズ)というクッキータイプのおやつがあります。
腎臓ケアの療法食とセットで使える、長い販売歴のある商品です。
ヒルズのトリーツ・200g入り
公式サイトでは以下のように書かれています。
- リン、ナトリウム、たんぱく質を調整。
- 心臓と腎臓の健康のサポートします。
- k/d※製品を給与している犬へおやつとして与えることができます。
※k/d:ヒルズの慢性腎臓病に配慮された療法食
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これ以外のおやつも知りたい方は、以下の記事でたくさん紹介しています。
参考記事
-
【犬の腎臓病ケアのおやつ】おすすめ7選をペット栄養士が徹底比較!
続きを見る
野菜
- 腎臓用のおやつだけだと味気ない
- 人間が食べられるもので、何かあげられるものを知りたい
このように思う方もいるかもしれません。
そんなとき、「野菜」は使いやすい食材です。
ほとんどの野菜は、ビタミンや食物繊維が主成分であり、タンパク質やリンの含有量は少ないからです。
画像はイメージです
以下の野菜は、 抗酸化作用のあるビタミンも豊富です。
- ミニトマト
- ブロッコリー(茎は避ける)
- かぼちゃ(皮は避ける)
ブロッコリーとかぼちゃは、ゆでるなど加熱してから与えましょう。
果物
野菜と同様、果物もタンパク質やリンの含有量が少なく、使いやすい食材です。
また果物には食物繊維が多いものもあります。
腎臓病になると便秘気味になることがありますが、食物繊維によりケアできる可能性があります。
画像はイメージです
「腎臓病の犬にささみは危険?」は、以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!