犬種別フードというのが一般的になっていて、飼い主も選ぶ時の大きな判断材料になっていますよね。
とはいえ「犬種別フードって意味あるの?」と思ったことがある方も多いかもしれません。
ということでこちらの記事では、犬種別フードの中身を検証していきたいと思います。
犬種別フードとは
その名の通り犬種によって異なる袋で販売されているドッグフードのことです。
犬種別フードではロイヤルカナンがたくさんの製品を出しています。
チワワ
ダックスフンド
プードル
柴犬
ヨークシャーテリア
シーズー
マルチーズ
ミニチュアシュナウザー
パグ
キャバリアキングチャールズ
フレンチブルドッグ
ラブラドールレトリバー
ゴールデンレトリバー
ジャーマンシェパード
アメリカンコッカ―スパニエル
ビーグル
ジャックラッセルテリア
ビションフリーゼ
合計18種類の犬種別フードがロイヤルカナンから販売されています。
犬種別フードを比較してみた
今回は、柴犬とビーグル犬の2つを比べてみたいと思います。
【比較のポイント】
①製品の訴求ポイント
②原材料
③成分、カロリー
④粒の形
製品の訴求ポイント
- 柴犬用
健康な皮膚と被毛の維持
健康的な消化を維持
健康的な体重を維持
柴犬は皮膚病も多いし太りやすいし、コンセプトとしては納得。
- ビーグル用
理想的な体重を維持
健康な骨と関節の維持をサポート
食事量の調整(粒の形でゆっくりと食べさせる)
太りやすいこととそれによる関節の負担を減らすこと(ビーグルは関節の疾患も多い)がメインコンセプトですね。これも理解できます。
原材料
それぞれの原材料は以下の通りでした。「一方には入っていてもう一方には入っていない」という原材料は赤字にしています。
- 柴犬用
とうもろこし、米、肉類(鶏、七面鳥)、植物性分離タンパク*、コーングルテン、動物性脂肪、とうもろこし粉、加水分解タンパク(鶏、七面鳥)、ビートパルプ、大豆油、魚油(EPA/DHA源)、植物性繊維、酵母および酵母エキス、フラクトオリゴ糖、加水分解酵母(マンナンオリゴ糖源)、ルリチシャ油、緑茶抽出物(ポリフェノール源)、加水分解甲殻類(グルコサミン源)、マリーゴールド抽出物(ルテイン源)、加水分解軟骨(コンドロイチン硫酸源)、アミノ酸類(L-リジン、DL-メチオニン、タウリン、L-シスチン、L-カルニチン)、ゼオライト、ポリリン酸ナトリウム、ミネラル類(Cl、K、Ca、Na、Mn、Zn、Mg、Fe、Cu、I、Se)、ビタミン類(コリン、E、ナイアシン、C、パントテン酸カルシウム、B6、B2、B1、葉酸、A、ビオチン、B12、D3)、保存料(ソルビン酸カリウム)、酸化防止剤(BHA、没食子酸プロピル)※超高消化性タンパク
計56種類
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- ビーグル用
肉類(鶏、七面鳥)、コーン、米、 小麦、 動物性油脂、 コーングルテン、 加水分解タンパク(鶏、七面鳥等)、 植物性繊維、超高消化性植物性タンパク(消化率90%以上)、ビートパルプ、魚油(EPA/DHA源)、 酵母および酵母エキス、フラクトオリゴ糖、サイリウム、大豆油、加水分解酵母(マンナンオリゴ糖源)、 ルリチシャ油、緑茶・ブドウ抽出物(ポリフェノール源)、グルコサミン、 マリーゴールド抽出物(ルテイン源)、加水分解軟骨(コンドロイチン硫酸源)、アミノ酸類(タウリン、L-チロシン、L-リジン、L-カルニチン)、ゼオライト、ポリリン酸ナトリウム、ミネラル類(Ca、Cl、Na、Zn、Mn、Fe、Cu、I、Se)、ビタミン類(コリン、E、ナイアシン、C、パントテン酸カルシウム、B6、B2、 B1、葉酸、A、ビオチン、B12、D3)、保存料(ソルビン酸カリウム)、酸化防止剤(BHA、没食子酸プロピル)
計55種類
一方のみに入っているものを整理するとこんな感じです。
柴犬のみ | ビーグルのみ |
とうもろこし粉 | 小麦 |
DL-メチオニン | L-チロシン |
Lーシスチン |
加水分解甲殻類(グルコサミン源)とグルコサミンは同じであると考え表からは削除しました。
原材料の違いとしては55種類以上あるうちの2つのみです。
・特にアレルギーに配慮するコンセプトのフードではないのでとうもろこしか小麦かはあまり関係ないはずです。
・DL-メチオニンは尿を酸性にする役割がありますが、尿をケアするコンセプトではないので単なる調整かと思われます。
・L-チロシンやL-シスチンも添加されたアミノ酸で、製品コンセプトに特段の影響を及ぼすものではないと考えられます。
よって犬種別フードの原材料はあまり違いがない、と言っていいと思います。
ただ原材料の順番はけっこう違いますね。多いものから順番に表示されるルールがありますから、順番が違うということは成分(栄養バランス)に大きく違いがあるのかもしれません。
ということでつぎに成分など見てみます。
成分、カロリー
柴犬 | ビーグル | |
たんぱく質 | 24.0 %以上 | 25.0 %以上 |
脂質 | 12.0 %以上 | 10.0 %以上 |
粗繊維 | 3.6 %以下 | 4.7 %以下 |
灰分 | 6.4 %以下 | 6.8 %以下 |
水分 | 10.5 %以下 | 10.5 %以下 |
カロリー(/100g) | 376kcal | 358kcal |
脂肪分とカロリーが、ビーグルのほうが低くなっています。これはビーグルのほうが柴犬より太りやすいというところに配慮されているのかなと思いますので納得です。
逆に柴犬のほうが脂質が多いのは皮膚に配慮しているのかと思います。特定の脂肪酸が多いと皮膚バリアが向上しますので。ただ具体的にどの脂肪酸が多く書いてあるのかはわからないので、そこまでの評価はできません。
またビーグル犬用のコンセプトの「関節の健康の維持」については原材料を見ても成分上の違いを感じられません。
粒の形
粒の形もHPに掲載されていたもので比較してみます。
ビーグルのほうは早食い防止がコンセプトのため、粒の形が独特ですね。これで実際に食べるスピードが遅くなるのであればうれしい工夫です。
実際に試したら追記します。
まとめ
今回は犬種別フードを4つの視点で比較しました。
最後にペット栄養管理士の視点で感じた「犬種別フードの違いのレベル」を一覧でまとめてみます。
「製品の訴求ポイント」に対し、「原材料」「成分・カロリー」「粒の形」がどれだけ意味のある違いを持っているか、という視点です。
原材料 | 違いなし |
成分・カロリー | やや違いあり |
粒の形 | 違いあり |
総評とすると
「まあ少し違うかな。あげて損することはなさそう」といった感じです。
あまり多くを期待せずに使っていくのがいいと思います。
また逆に言うと、犬種別フードを使っていない方で現状大きな問題がないのであれば、そのまま無理に犬種別に変更する必要もないと思います。