【公開日:2021年1月12日】

上記のような疑問を持つ方に、ペット栄養管理士の筆者が解説していきます。
この記事でわかること
腎臓病の犬に与えていいおやつとは?
腎臓病は完治することはなく、「進行を遅らせること」が治療の考え方になります。
治療には薬や点滴も大切ですが、おやつの変更も含めた食事療法が超重要です。
なぜなら、栄養分が腎臓病にダイレクトに関わっているからです。
腎臓は「リン」と「タンパク質」がもとでできる老廃物を処理しています。
つまりこれらの栄養素は、腎臓に負担をかけやすいということです。
なので腎臓病の時には、リンとタンパク質を減らすことが効果的です。
また、腎機能が低下すると高血圧になりやすくなります。
よって、血圧をあげる作用のあるナトリウム(塩分)も減らすほうがよいです。
まとめると、以下のようなバランスの食事を与えることが必須だということです。
腎臓病の犬におすすめの栄養バランス
- リンを少なく
- タンパク質を少なく
- ナトリウムを少なく
実際に、上記のバランスのフードを使った研究があり、成果が出ています。その一例を紹介します。(2000年のJacobらの研究)
一般的なフードを使っていた場合より・・・
- 生存期間が406日延長する
- 尿毒症※を発症するまでの期間が363日長くなる
※腎臓で処理されなかった老廃物が、体内を循環しておこる神経症状
腎臓病の時に、上記の栄養バランスがいかに重要かが分かります。
よっておやつも「腎臓病に配慮したもの」にすることが大切です。
仮に主食フードだけを腎臓病用にしても、おやつが腎臓に配慮されていなければ意味がなくなってしまいます。
ということでここから、腎臓病の犬におすすめのおやつを7つ、紹介していきます!
※腎臓病の主食フードについては、以下の記事で紹介しています。
-
-
【どれがいい?】犬の腎臓病フード15選。食べない時の対策も解説。
続きを見る
犬の腎臓病おやつ・おすすめ7選
まずは療法食タイプのおやつを4つ、紹介していきます。療法食として発売されているので、安心して与えることができます。
療法食とは?
特定の病気に対応するため、特別に栄養成分を調節された食事のこと。
効果が検証されていたり、獣医師により開発されていることが多い。
和漢鹿肉ぷちジャーキー
タンパク質 | 9.59% |
リン | 0.12% |
ナトリウム | 0.04% |
原産国 | 日本 |
タイプ | 鹿肉のジャーキータイプ |
サイズ | 150g |
購入方法 | 公式サイト・楽天市場 |
和漢鹿肉ぷちジャーキーは、自然の森製薬(株)の療法食おやつです。
腎臓病の時には、基本的に肉類を使ったジャーキーはNGです。タンパク質やリンが多いからです。
ですが和漢鹿肉ぷちジャーキーは、以下の原材料を使うことで「腎臓病にも使える肉類ジャーキー」となっています。
- 鹿肉
- 漢方食材
【和漢鹿肉ぷちジャーキーの原材料】
鹿肉、タピオカデンプン、植物性グリセリン(ヤシ由来)、白高きび、漢方茸(ハナビラタケ、マイタケ、アガリクス、ヤマブシタケ、霊芝、メシマコブ、冬虫夏草、チャーガ、タモギタケ、カワラタケ、シイタケ菌糸体、ユーグレナ、オルニチン、発酵グルコサミン、サチャインパウダー(オメガ3脂肪酸)、高麗人参、紅豆杉
もちろん栄養バランスは、タンパク質やリン、ナトリウムが低減されています。(栄養成分表を確認する)
他のおやつと比べても、3つの栄養素がかなり低いです。
公式サイトより抜粋
「腎臓用の療法食おやつ」で、お肉のジャーキーはこれしかありません。
漢方食材を使っていることもあわせて、唯一無二の貴重なおやつです。
ジャーキーも小さくカットされているため、与えやすいです。
鹿肉を使っているので、味もおいしく仕上がっています。(漢方の苦みは消してあります)
ただ1袋(150g)にたくさんのカットが入っていますが、やや高価に感じる方もいるでしょう。(2,800円)
「お肉を与えられる特別感」や「主食フードも揃っている安心感」と、価格を天秤にかけて判断するのがよいでしょう。
購入方法は、公式サイトか楽天市場です。
送料を含めても、公式サイトは楽天市場より10~20%くらい安く設定されています。
トリーツ
タンパク質 | 15.4% |
リン | 0.4% |
ナトリウム | 0.11% |
原産国 | アメリカ |
タイプ | 骨型のクッキータイプ |
サイズ | 200g |
購入方法 | 大手通販サイト、動物病院 |
トリーツは、ヒルズから発売されている療法食おやつです。
人気の腎臓病療法食「k/d」とセットで与えることができます。30年以上の販売の歴史があります。
プリスクリプション・ダイエット™ 〈犬用〉 c/d™ マルチケア、j/d™ 、k/d™ 、l/d™ 、r/d™ 、w/d™ 製品を給与している犬へおやつとして与えることができます。
よって「失敗したくない」と考える方には、安心しておすすめできるおやつです。
粒の形は大きめで厚みもあります。やや硬く割るのに苦労するかもしれません。
そのため超小型犬には不向きかもしれません。
1袋(200g)に、約40粒くらい入っています。
ミネラルコントロール
タンパク質 | 3.5% 以上 |
リン | 0.05% |
ナトリウム | 0.01% |
原産国 | 日本 |
タイプ | セミモイストのスティックタイプ |
サイズ | 85g |
購入方法 | 大手通販サイト、動物病院 |
ミネラルコントロールは、動物用サプリメントメーカーのQIXが発売しているおやつです。
腎臓病に配慮されたバランスになっているのはもちろん、原材料には主要アレルゲン35品目を使用していません。
つまり「アレルギー配慮の腎臓おやつ」ということです。
主要アレルゲン35品目
牛肉、羊肉、鶏肉、豚肉、七面鳥肉、あひる肉、さけ、 たら、なまず、ししゃも、卵、乳、大豆、小麦、とうもろこし、米、じゃがいも、かつお、いわし、さば、まぐろ、にしん、あじ、かれい、大麦、ライ麦、オーツ麦、エンドウ豆、落花生、りんご、にんじん、かぼちゃ、ホウレンソウ、トマト、キャベツ
実際の原材料は以下の通りです。
【ミネラルコントロールの原材料】
ホワイトソルガム粉、グリセリン、加工デンプン(タピオカ由来)、黒糖蜜、香料、ビタミンE
アレルゲンであるタンパク源がほぼないので、アレルギーを起こすリスクはかなり低いと言えます。
黒糖蜜の甘味がありますが、タンパク源がないので「うま味」は少ないです。(犬は甘味が好き)
やわらかいスティックタイプなので、ちぎって与えやすいおやつです。
1袋(85g)に約33本入っています。
腎尿肝心ケア
タンパク質 | 10.0% 以上 |
リン | ー |
ナトリウム | ー |
原産国 | 日本 |
タイプ | セミモイストの粒タイプ |
サイズ | 75g |
購入方法 | 公式サイト |
腎尿肝心ケアは、犬心シリーズの療法食おやつです。
製品名にもある通り、複数の病気をケアできる栄養バランスになっているのが特徴です。
- 腎臓病
- 尿石症
- 肝臓病
- 心臓病
主食である「低たんぱくバランス」もこれらの病気に対応している療法食です。
つまり低たんぱくバランスとセットで与えることが可能です。(もちろんセットで与えなくてもOK)
低たんぱくバランス
また犬はもともと水分量の多いものを好む傾向があります。
腎尿肝心ケアは、水分の多いセミモイスト(半生)なので、犬もおいしく感じます。
かつ小さな粒タイプになっているので、小型犬~大型犬まで与えやすいです。
公式サイトのみから購入できる予定です。
1袋(75g)に、約30粒が入っています。
ここまでは「療法食タイプのおやつ」を紹介してきました。
つぎに「療法食タイプではないおやつ」を3つ紹介します。
公式表示は療法食タイプではないですが、栄養バランスは「タンパク質・リン・ナトリウム」が控えめになっているものを厳選しています。
腎臓にやさしいトリーツ
タンパク質 | 1.4% 以上 |
リン | 0.07% 以下 |
ナトリウム | 0.1% 以下 |
原産国 | 日本 |
タイプ | セミモイストのタイプ |
サイズ | 50g |
購入方法 | 大手通販サイト、動物病院 |
腎臓にやさしいトリーツは、ドクターヴォイスシリーズのおやつです。
獣医師と共同開発され、腎臓病を含め7つの病気に対応できる商品があります。
腎臓にやさしいトリーツは、ヒューマングレードの原材料を使っています。
かつアレルギーにも配慮しています。(アレルゲンはポテトのみ)
【腎臓にやさしいトリーツの原材料】
ジャガイモ澱粉、糖蜜、グルシトール、魚油、キサンタンガム、ビタミンE、ベーキングパウダー、香料、フラクトオリゴ糖、ポテトファイバー、豚エキス抽出物、バイオモス、γリノレン酸含有油脂、アスタキサンチン粉末、ビタミンD3
療法食ではないため、成分分析の公開がやや粗いですが、数値上はまったく問題ありません。
粒は、やや水分の多いスナック状で、ギザギザした形になっています。
1袋(50g)に約100粒入っています。
ドットわんフリーズドライ リンゴ
タンパク質 | 1.0% 以上 |
リン | 非公表 |
ナトリウム | 非公表 |
原産国 | 日本 |
タイプ | リンゴのフリーズドライ |
サイズ | 8g、20g |
購入方法 | 大手通販サイト |
ドットわんフリーズドライは、ドットわんシリーズのおやつです。
リンゴは「ふじ」や「紅玉」などの品種のリンゴを、そのままフリーズドライにしています。
よってりんごの甘味もあり、サクサクでおいしいと評判です。
【フリーズドライ・リンゴの原材料】
リンゴ(青森県産)、トレハロース
リンとナトリウムの数値が公表されていませんが、原料であるリンゴにはそもそもリンやナトリウムがほとんど入っていません。
食品成分データベースを確認しても、リンゴの成分は以下になっています。
- リン:0.01%
- ナトリウム:0.01%以下
【リンゴの主要成分】
タンパク質 | 0.2% |
リン | 0.01% |
ナトリウム | 0.01% 以下 |
脂質 | 0.3% |
炭水化物 | 16.2% |
水分 | 83.1% |
よって、腎臓病の犬にも安心して使うことができます。
もちろん、人用の生のリンゴをあげても問題ないですが、保存性や常備性を踏まえるとフリーズドライのおやつはおススメです。
腎ケアプラスクッキー
タンパク質 | 9.1% |
リン | 0.18% |
ナトリウム | 0.02% |
原産国 | 日本 |
タイプ | ハート型のクッキータイプ |
サイズ | 80g |
購入方法 | 大手通販サイト |
腎ケアプラスクッキーは、帝塚山ハウンドカムのおやつです。
原材料に「なた豆」が使われています。
なた豆はウレアーゼという、尿の合成をサポートする成分が豊富です。それにより腎臓のケアをすることが可能です。※
【腎ケアプラスクッキーの原材料】
薄力粉、ジャガイモ、粉ミルク、卵、オリーブオイル、豆乳、なた豆粉末、ホワイトクルクミン、バニラエッセンス
※腎臓は「体の老廃物をあつめ、尿として排泄する」というのが主な役割です。
ジャガイモや卵などの甘味が感じられます。実際に人が食べても問題ありません。
中身はハート形のクッキータイプです。
比較的やわらかいので、割って与えることも簡単にできます。
まとめ
最後に、この記事をまとめてみます。
腎臓病の犬にあげていいおやつ
- タンパク質が控えめのもの
- リンが控えめのもの
- ナトリウムが控えめのもの
具体的な商品は7つ紹介しました。
製品 | 療法食? | タイプ |
和漢鹿肉ぷちジャーキー![]() |
〇 | ジャーキー |
トリーツ![]() |
〇 | クッキー |
ミネラルコントロール![]() |
〇 | セミモイストスティック |
腎尿肝心ケア![]() |
〇 | セミモイスト粒 |
腎臓にやさしいトリーツ![]() |
× | スナック |
ドットわんフリーズドライ![]() |
× | フリーズドライ |
腎ケアプラスクッキー![]() |
× | クッキー |
本記事は以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!