カロリーエースが有名みたいだから、それで大丈夫かな?
上記のような疑問や不安に、ペット栄養管理士の筆者が回答させていただきます。
カロリーエースは猫の腎不全にはおすすめできない
カロリーエースは猫の流動食として、人気の商品です。
液体タイプとムースタイプの2種類があり、どちらもシリンジ(注射器)で与えることができます。
液体タイプ(カロリーエースプラス)はこのような感じです。
液体なのでシリンジ(注射器)はもちろん、カテーテル(管)を通すことも可能です。
一方のムースタイプ(カロリーエースプラス・ムースタイプ)はこのような感じです。
ムースタイプなので、スプーンですくってあげたりすることも可能です。
細いカテーテルを通したい場合は液体タイプのほうがおすすめです。
液体もムースどちらも評判は高く、カロリーエースを使用している猫は少なくないです。
レボのカロリーエースを飲むスピード! pic.twitter.com/b5qMxp3cUR
— うちークロレボミク (@2681a1d2932d467) October 10, 2018
シリンジにカロリーエースを詰めると背中を爪を立てて、よじ登って来てオチビちゃん達のを横取る兄ちゃん(ΦωΦ)#ラグドール #底無しの食欲 #ブルーリンクスポイントバイカラー pic.twitter.com/1CHlufxwju
— @でぶにゃん(アイコン変えました) (@ragu1029) February 10, 2019
そぼろ。
a/dが飲み込みにくそうなんで、カロリーエースに変更。
相方さんが、あげてくれました。 pic.twitter.com/3ZTUJTKa4y— もふもふ隊 (@cow0china) October 2, 2017
カロリーエースはこのような人気商品ですが、腎不全の猫にカロリーエースはおススメできません。
理由は「カロリーエースには、タンパク質とリンが多いから」です。
腎臓の健康維持のためには、以下のような栄養バランスがおすすめされます。
- タンパク質を控える
- リンを控える
- ナトリウムを控える
そのうえで「腎臓ケアの療法食」と成分量を比較してみます。(ヒルズのk/dと比較)
カロリーエース | k/d缶詰 | |
粗タンパク質 | 5.0%以上 | 3.5%以上 |
粗脂肪 | 4.0%以上 | 3.0%以上 |
粗繊維 | 0.5%以下 | 1.5%以下 |
粗灰分 | 2.0%以下 | 1.5%以下 |
水分 | 85.0%以下 | 85.0%以下 |
※保証分析値より
リンとナトリウムの量は非公開ですが、タンパク質が多いことは分かります。
また、リンの量はタンパク質の量に比例する傾向があります。
そうするとうちの猫には流動食は使えないのね・・・
でもがっかりする必要はありません。
カロリーエースは使えませんが、猫の腎臓ケアの流動食は他に存在しています。
ここからカロリーエース以外の商品を紹介(液体もムースも)していきます。
腎臓ケアのある、猫用流動食
まずは液体タイプを2つ、紹介します。
腎臓サポートリキッド
腎臓サポートリキッドはロイヤルカナンから発売されている液体タイプの流動食(療法食)です。
栄養バランスについて、ロイヤルカナンの公式HPでも以下のような記載があります。
慢性腎臓病の猫に給与する目的で特別に調整された食事療法食(流動食)です。
この食事は、リンの含有量を制限し、タンパク質の含有量を調整しています。
メモ
「腎臓サポート」は、ドライフードで3種類、パウチで2種類も作られているシリーズです。
動物病院でも多数つかわれています。
上記の栄養バランス以外にも、カロリーエースプラスと比較して、以下のメリットがあります。
- キャップがついているため保管しやすい
- シリンジ(注射器)から直接吸い取れる専用キャップが付属している※
- 1kca./mlなので、カロリー補給しやすい(カロリーエースは0.9kcal/ml)
専用キャップとは以下のようなものです。
療法食をたくさん作っているロイヤルカナンだからこそできる、気の利いた配慮です。
反対に、デメリットとしてはやや割高感があることです。(約800円/本)
2日で1本くらい消費することを考えると、腎臓サポートリキッドを使う間は、ある程度のコストがかかることを覚悟する必要があります。
ただこれも、猫の体に負担をかけないことを考えると仕方ないことかもしれません。
\ 腎臓サポートリキッドをさがしてみる /
キドナ
キドナは森乳サンワールドから発売されています。(療法食)
粉末になっているため、水に溶かして流動食として使用でいます。
キドナという製品名はKidney(腎臓)からきていると思われます。
公式サイトには、以下のように記載されています。
腎疾患用の猫用高消化性経腸流動食(特別療法食)です。
- 必須アミノ酸食事療法理論を応用し、特に腎疾患の猫に最適な栄養組成となっております。
- リンを制限してあります。
- たんぱく質を制限してあります。
- たんぱく質中の必須アミノ酸含有量は68.5%以上でアミノ酸バランスに優れています。
- 高消化性原材料
*消化態乳たんぱく質使用
*消化吸収性に優れる中鎖脂肪酸(MCT)を全脂質中30%使用
★中鎖脂肪酸(MCT)は経門脈で肝臓に入り、すばやくエネルギーとして利用されます。
*消化吸収性に優れたデキストリンを使用 - ヌクレオチド、タウリンを配合
- オメガ脂肪酸を調整
キドナのメリットは以下のような点です。
- 粉末で、しかも小分けになっている(20gずつ)のため、長期保存しやすい
- 粉末を溶かすため、水の量によりゆるさを調節できる
- 腎臓サポートリキッドより割安感がある(1包あたり約300円)
ゆるさの調節については以下のようなイメージです。
反対にキドナのデメリットは「水に溶かす手間がかかる」というところです。
上記のカロリーエースや腎臓サポートリキッドは、最初から液体の状態なので手間がかかりません。
このキドナは長期的に使っていくうちに、水に溶かす作業がおっくうになってしまうかもしれません。
\ キドナをさがしてみる /
あと液体タイプだけじゃなく、ムースタイプのものも知っておきたいわ。
では次にムースタイプを2つ、紹介していきます。
腎臓ケア k/d
k/d缶はヒルズから発売されている、ムース状(ペースト状)の療法食です。
液体とまではいきませんが、かき混ぜるとかなりトロトロになります。(156g入り)
k/dはドライタイプもあり、動物病院でも多数つかわれています。
公式HPにも以下のような記載があります。
リンやナトリウムなどを調整し、腎臓の健康と食事量の増加をサポートし、腎臓病の愛猫の生活の質(QOL)の向上に役立つことが科学的に証明された療法食です。
複数の食感や味が揃っており、好き嫌いのある猫にも最適です。
それ以外に、k/dのメリットは以下のような点です。
- 液体タイプにくらべ、少量で多くのカロリーを補給できる
- 液体タイプより割安
- チキン味とツナ味から選べる
チキン味とツナ味は、パッケージの真ん中あたりの色で見分けられます。
分かりにくいので間違えないよう注意しましょう。
k/dのデメリットとしては、空になった缶詰容器の扱いが意外と大変、ということがあります。
缶詰を洗おうとすると手を切る可能性があったり、廃棄がかさばりやすいです。
細かいところですが、長い間使っていると気になってくるかもしれません。
\ k/dをさがしてみる /
※k/dには「シチュー缶(82g入り)」というのもあります。こちらはムースタイプではありませんのでご注意ください。
FKW
FKWはスペシフィックから発売されている、ムース状(ペースト状)の療法食です。
スペシフィックというブランドはあまり聞かないかもしれませんが、1975年から療法食を作り始めた老舗です。
公式情報では、以下のように記載されています。
腎臓への負担を考慮してリンと蛋白質の含有量を制限しています。
またナトリウムを制限することで体液貯留や糸球体高血圧にも配慮しています。
FKWのメリットは以下のような点です。
- 1パックが100gと小容量(上記のk/d缶は156g)
- 容器がトレーなので、廃棄しやすい
ただk/d缶よりも質感がやや硬めであるというデメリットがあります。
\ FKWをさがしてみる /
「カロリーエースを腎不全の猫に使うと危険?」の記事は以上となります。
猫の腎不全については、以下の記事でも紹介しています。