ほんとにあげて大丈夫なの?
動物病院では、手術前にクリティカルリキッドという製品をすすめられることがあります。
ですが、「手術前=絶食」というイメージをもっている方も多いと思います。
そうするとペットに与えるのが少し不安ですよね。
ということで、上記のような疑問や不安に、ペット栄養管理士の筆者が回答させていただきます!
手術前は胃の中に食べ物を入れてはいけない
ペットの手術では麻酔をかけることが多いです。
避妊・去勢やスケーリング(歯石除去)といった、重度の病気ではない手術であっても麻酔をかけます。
麻酔をかける時には、胃の中を空っぽにしておかなければなりません。
なぜなら処置中に「胃の中の食べ物が逆流し、誤嚥(ごえん)や呼吸不全を引き起こすことがある」からです。
誤嚥とは?
食べ物が気管や喉頭に入ってしまうこと。
なので、麻酔をかける手術の前には、固形物を食べさせてはいけません。
ただし健康上、水だけは与えても大丈夫であることが多いです。
ここまでの説明だと、このように思われるかもしれません。
クリティカルリキッドは術前にあげて大丈夫
ですが、クリティカルリキッドは手術前に与えても大丈夫です。
クリティカルリキッドは完全な液体だからです。
製品名を翻訳してみても分かります。
クリティカル=緊急用の
リキッド=液体
実際に液体状であることが分かる動画がこちらです。
1:55くらいを見ると、しっかり確認できます。(Twitterユーザーさんの投稿を引用させていただきました)
保護猫 保護して165日目 手術前の流動食ロイヤルカナン クリティカルリキッド 【ねこ cat】 https://t.co/TgoTkRdq9D @YouTubeさんから#猫 #猫のいる暮らし #猫のいる幸せ #猫動画#猫好きな人と繋がりたい #保護猫 #ロイヤルカナン
— Yuuna & Ringo (@yuuna_ringo) November 20, 2019
つまり「クリティカルリキッド=栄養成分が溶けた水」のようなものです。
ちなみにクリティカルリキッドは、犬猫兼用です。
ポイント
もちろん、クリティカルリキッドを手術後に与えることも可能です。
術後は食欲が落ちて、いつものフードを食べないこともあるため、栄養補給はしやすいかもしれません。
\ クリティカルリキッドをさがしてみる /
それとうちの犬はアレルギーもあるんだけど、あげても大丈夫かな?
ではここから、与える量やアレルゲンなどを見ていきます。
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クリティカルリキッドの与える量・原材料・成分
与える量
クリティカルリキッドの「与える量の目安」は以下の通りです。
すべて1日に与える量です。
【犬の場合】
体重 | 2kg | 4kg | 6kg | 8kg | 10kg | 12kg | 14kg | 16kg | 20kg |
給与量 | 115ml | 190ml | 260ml | 320ml | 380ml | 435ml | 485ml | 540ml | 635ml |
【猫の場合】
体重 | 2kg | 2.5kg | 3kg | 3.5kg | 4kg | 4.5kg | 5kg | 5.5kg | 6kg |
給与量 | 110ml | 135ml | 150ml | 170ml | 190ml | 205ml | 225ml | 240ml | 255ml |
クリティカルリキッドは1本200mlです。
この表を見る限り、「かなりの量を与えなければいけない」という印象を持つかもしれません。
ただこの表はあくまで目安ですし、犬や猫に「飲め!」と言って飲むものでもありません。
現実的には「飲める分だけ飲ませて、表の目安くらいまで飲めれば十分」と考えておけば大丈夫です。
原材料
クリティカルリキッドの原材料は以下の通りです。
低乳糖ミルク、マルトデキストリン、カゼインカルシウム、植物性油脂、濃縮大豆タンパク、魚油、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、アラキドン酸高含有植物性油脂、アミノ酸類(L-アルギニン、タウリン、L-システイン)、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル)、ミネラル類(K、Ca、P、Na、Cl、Zn、Mg、Fe、Se、Cu、Mn、I)、ビタミン類(コリン、E、C、ナイアシン、B5、B1、B2、B6、A、葉酸、ビオチン、D3、B12)
この中から、アレルゲンとなるものを抜粋してみます。
- 牛乳
- 大豆
なので、牛乳と大豆のアレルギーがなければ、安心して使用できます。
成分
次にクリティカルリキッドの栄養成分を記載します。
タンパク質 | 31.2g |
脂肪 | 19.8g |
灰分 | 3.8g |
水分 | 324g |
炭水化物 | 19.4g |
カルシウム | 0.8g |
カリウム | 0.80g |
リン | 0.65g |
マグネシウム | 0.05g |
鉄 | 10.8mg |
銅 | 1.03mg |
亜鉛 | 16.0mg |
ナトリウム | 0.38g |
EPA+DHA | 457mg |
タウリン | 0.57g |
アルギニン | 1.90g |
ビタミンE | 60.9mg |
ビタミンC | 57.1mg |
ビタミンB群 | 11.05mg |
エネルギー | 1kcal/ml |
※栄養素は400kcalあたりの重量
特徴的なのは「タンパク質」「EPA」が、豊富に含有されていることです。(他のリキッド製品と比べ)
またカロリーが1mlに1kcal(キロカロリー)含まれているのも、希少価値が高いと言えます。
液体にこれだけのカロリーを入れるのは難しいはずです。
上記より、クリティカルリキッドは「手術前に使用するのに適した製品」だと言えます。
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クリティカルリキッドや流動食については以下の記事でも解説していますので、よろしければ参考にしてみてください。
「クリティカルリキッドを術前に使って大丈夫?」に関する記事は以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!