猫に多い泌尿器疾患。
その中で最近急激に増えているといわれるのが「シュウ酸カルシウム尿石」です。
昔は猫では「ストルバイト尿石」が最も多いといわれていましたが、最近ではシュウ酸カルシウム尿石のほうが多いのではとも言われています。
シュウ酸カルシウム尿石は体内で溶かすことはできず、ストルバイト尿石なら溶かせます。
よって大変さでいうと、「シュウ酸カルシウム尿石 > ストルバイト尿石」です。
この記事では、シュウ酸カルシウム尿石の治療について、まとめていきます。
【猫の泌尿器疾患の内訳】
※アニコム家庭どうぶつ白書2017より引用
この記事でわかること
【猫のシュウ酸カルシウム尿石】3つの要因
尿中の「シュウ酸」「カルシウム」濃度
シュウ酸カルシウム尿石は、尿の中に排泄された「シュウ酸」と「カルシウム」が尿の中で結合して石になったものです。
どんな子でも尿にシュウ酸とカルシウムは存在しますが、その濃度が高くなってしまうことが尿石になってしまう1つの理由です。
シュウ酸とカルシウムは、食事から摂取したり体内で合成されたりしたものが存在します。
尿が体内にたまっている時間
尿の中の「シュウ酸」と「カルシウム」が結合し、尿石になるには時間がかかります。
結合する前にその尿が体の外に排泄されれば、尿石はできにくくなります。
逆に、尿をする回数が少ないようだと尿石はできやすくなります。
尿のpH
猫の尿の環境は通常、弱酸性(pH 6.5くらい)と言われています。
シュウ酸カルシウム尿石は尿が酸性のとき、ややできやすくなることが分かっています。
ただし、「ストルバイト尿石がアルカリ性でできやすい」というほどの因果関係はありません。
あくまで「ややできやすくなる」というレベルです。
猫のシュウ酸カルシウム尿石は溶かせない
ストルバイト尿石はフードを変更することにより、体内で溶かすことができます。
一方でシュウ酸カルシウム尿石は現在の獣医療だと、どうやっても溶かすことができません。
よって手術で取り出すか、その段階で大きな害がないようであればそれ以上大きくしないように残しておくという治療がメインです。
またもう1つ厄介な面があります。
最近は腎臓や尿管という手術も難しい場所に尿石ができる子も多く、それがシュウ酸カルシウム尿石であることが多いのです。
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シュウ酸カルシウム尿石の管理
尿中にカルシウムが増えやすくなる病気(高カルシウム血症)などがあれば、その原因を治療することがメインとなります。
そういった病気がベースにないようであれば、「食事療法」を行うことが多いです。
また尿pHの調節などのため「サプリメント」などを使うこともあるかもしれません。
ポイント
ただし体質も大きくかかわっていると考えられているため、食事療法などでも再発する可能性は0ではありません。
本記事は以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!