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こんにちは!
ペット栄養管理士のピー子センパイです。



血液検査の項目ってなかなか難しいですよね。
でも皆さんの中には項目の意味がだいたい分かっているという方も多いと思います。
ですが、SDMAという項目はまだ出始めたばかりで知らない方も多いはずです。
SDMAは腎臓にかかわる数字なのですが、この記事で分かりやすく解説していきます。
腎臓病とは
腎臓病とは腎臓にかかわる病気を総称した呼び方です。
ただ一般的には慢性腎不全のことを腎臓病と呼んでいることが多いです。ただこの記事では分かりやすくするために腎臓病と記載していきます。
腎臓病は年をとると増える病気です。
腎臓は生まれた時が100点満点で、年をとるにつれて誰しも必ず機能が衰えていきます。この機能の低下が顕著になって症状が出てくることを腎臓病と呼びます。
腎臓の機能とは?
体の中のゴミを選別して、尿として排泄する。
血圧の調整を行う。
血液の成分をつくる
などなど・・・
これらの機能が衰えるということは次のような症状につながってきます。
腎臓病の症状
体の中のゴミを選別して、尿として排泄するのがうまくいかない。
→尿をたくさんするようになる。体のゴミが体内にたまったままになる。
血圧の調整を行えなくなる。
→高血圧になる。
血液の成分をつくりにくくなる。
→貧血気味になる。
ちなみにどれくらいの犬猫が腎臓病になっているかというと以下のようなデータがあります。
腎臓病の有病率
犬→10歳以上の3%(100頭中3頭)
猫→10歳以上の9%(約10頭に1頭)


でもこの数字には「初期の腎臓病」は含まれていないんだよ。
腎臓病は早期発見が難しい

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実は初期の腎臓病は今まで発見をすることが困難でした。
初期の段階だと症状も出ず、血液検査で上昇してくる項目もありませんでした。
逆に言うと、症状が出たり血液検査で腎臓の項目の数字が上がった時には腎臓病がある程度進んでしまっているということを意味していたわけです。
ポイント
腎臓病は4段階(4つのステージ)で分類されます。
・水をたくさん飲む、おしっこをたくさんする → ステージ2
・食欲不振や嘔吐など外見上の明らかな変化がある →ステージ3
となります。
初期の段階(ステージ1)では症状がありません。
しかし2016年ごろから初期の段階の腎臓病を調べる検査ができました。
「SDMA検査」です。
★SDMA検査以外の腎臓の検査についてはこちらの記事で解説しています。
※犬の記事として書いていますが、猫もほぼ共通です。
SDMA検査は腎臓病の早期発見ができる
SDMAとは「対称性ジメチルアルギニン」という物質の略で、腎臓が早い段階からかなり高い確率で上昇してくることが分かったものです。つまり初期腎臓病を発見できるということですね。
現在ではSDMA検査が初期の腎臓病を発見できる唯一の検査です。
SDMAを測定して「14㎍/dl」を超えているようだと初期腎臓病と診断されます。
まだ動物病院でも通常の血液検査の項目に入れていないこともありますが、頼めばどこでも間違いなく測ってくれます。ただし外部の検査機関に送らなければいけないことがほとんどなので少し時間はかかるかもしれません。
ポイント
料金は病院にもよりますが、2,000円~3,000円くらいが相場です。
この初期の腎臓病を含めると上で紹介した「どれくらい腎臓病の犬猫がいるか」という数字にも変化が出てきます。
「初期も含めた」腎臓病の有病率
犬→10歳以上の約15%(10頭に1,2頭)
猫→10歳以上の約30%(10頭に3頭)
初期段階を含めるか含めないかで倍以上数字が変わってきます。
それくらい気づいていないだけで初期腎臓病が多いということです。
しつこいですが腎臓は必ず悪くなっていく臓器です。
それが分かっているのであれば早期発見をできる検査もマメにしたほうがいいですよね。個人的には犬も猫も10歳になるころにはSDMA検査を受け始めるとよいと思います。
ちなみに腎臓は一度悪くなると回復することはない臓器ですが、フードの治療で延命できることが証明されています。詳しくはこちらの記事で解説しています。
SDMA検査で早期発見してフードで治療していく。この流れができればシニアライフを少しでも長くいい状態で過ごせること間違いなしです!