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こんにちは!
ペット業界10年、専門家1000人以上と仕事をしてきたピー子センパイです。
わんちゃんが高齢になってくるとドッグドック(犬の健康診断)をすすめられることも多いです。
半年に1回または1年に1回くらいは健康診断をした方がいいと言われますが、高齢でよく見つかるのが腎臓の数値の異常です。
高齢になってくると若いころより間違いなく衰えてくるのが腎臓の機能です。
腎臓の機能が悪化して病的になったものを「慢性腎臓病」と言いますが、初期段階から重度の段階までさまざまです。
こちらの記事ではその慢性腎臓病にまつわる数値について、どこよりも分かりやすく解説しています。
どれくらい進行しているのかが分かる検査数値
腎臓は体にとって必要なもの(老廃物)と不要なものを選別する臓器です。
その選別能力は年を取るとともに誰もが確実に衰えていきます。
腎臓の機能は「治る」ということはなく、悪くなる方向にしか進みません。
つまり治療は「治す」のではなく、「進行を遅らせていく」ことしかできないのです。
そういった意味でも、この病気はなるべく早めに見つけることが大事ということですね。
慢性腎臓病は大きく4つの段階に分けられます。
ステージ1~ステージ4という呼び方が世界的に統一されています。
家で飼っているわんちゃんが、見た目で異常だと分かるのはステージ3からです。
ですので初期段階(ステージ1~2)ではなかなか見た目ではわからないため、健康診断での検査が必要なのです。
それでは検査数値が慢性腎臓病のステージでどこにあたるのか、という目安を見ていきます。
あくまで目安であり、検査機関ごとに多少の誤差もあります。
異常値と判断されるところを太字で示しました。
【検査数値と慢性腎臓病の進行の目安】
ステージ1 | ステージ2 | ステージ3 | ステージ4 | |
見た目の変化 | ほぼわからない | 水をよく飲む
尿をよくする |
食欲不振など明らか | |
尿比重 | 1.030以下
だと異常 |
|||
SDMA(㎍/dl) | 14以上
だと異常 |
|||
クレアチニン(mg/dl) | ~1.4 | 1.4~2.0 | 2.1~5.0 | 5.0~ |
UPC比 | 0.5以上
だと異常 |
|||
BUN(mg/dl) | 30未満 | 30未満 | 30以上
だと異常 |
|
リン(mg/dl | 8.0未満 | 8.0未満 | 8.0以上
だと異常 |
※この検査の中で慢性腎臓病のステージ分けと明確な関連があるのはSDMAとクレアチニン、UPCです。
尿比重、BUN、リンの検査項目については、異常値とその異常値が出る時期をざっくりとあてはめています。
検査がどういう意味を持っているのか
上記の章で検査項目の数値を書きましたが、検査が何を意味しているのか、を解説していきます。
尿比重
尿比重はステージ1~2の初期段階から変化する数値のため、早期発見のためにはとても重要です。
簡単に言うと
「おしっこがどれだけうすいか」
というのを見ています。
尿検査の数値で判断するものです。
見た目にも尿が以前よりうすくなっているのが分かるケースもありますので、
もし自宅で「前よりおしっこがうすい気がする」と思った方は尿検査だけまずしてもらうのもおすすめです。
【異常値のめやす】
1.030以下
SDMA
この数年で新しく使われるようになった血液検査です。
尿比重と同様に慢性腎臓病の早期発見(ステージ1)ができるという画期的な検査です。
健康診断で尿検査はしないこともありますが、血液検査はどの病院もやることが多いので発見しやすいです。
まだ動物病院の中でもSDMAを検査項目に入れていない病院もありますが、頼めば入れてくれるはずです。
【異常値の目安】
14㎍/dl 以上
クレアチニン
「腎臓の選別能力がどれだけ衰えているか」の指標です。
実は冒頭のステージ分けはこのクレアチニンの数値を使っています。
慢性腎臓病がどれだけすすんでいるかを分けるのにクレアチニンの数値を使っているということですから、ある意味で最重要項目ということですね。
ただしクレアチニンはステージ3にならないとなかなか上がってきませんので、
クレアチニンが上がった時には、すでに症状がけっこう進んでいるということですね。
【異常値の目安】
一般的には2.0mg/dl 以上(ステージ3)
UPC比
クレアチニンと尿たんぱくの比率を見る検査です。
早期発見に有用だと考えられています。
【異常値の目安】
0.5以上
BUN
腎臓は体にとって必要なもの(老廃物)と不要なものを選別する臓器です。
腎臓で選別されて排出されるはずだった老廃物がどれだけ体内に残っているかを測定しているのがBUNです。
もっと簡単に言うと
「体内に毒(老廃物)がどれだけ溜まっているか」を調べることができます。
【異常値の目安】
30mg/dl 以上
リン
リンは老廃物の一種で腎臓に負担をかけます。
血液中のリンが高いか低いかで余命が変わるというものです。
もちろんリンが高いと余命は短くなります。
そのリンがどれだけ体内にあるかの指標です。
【異常値の目安】
8.0mg/dl 以上
いかがだったでしょうか?
動物病院で測った検査項目の意味が少しでも理解しやすくなったようであれば幸いです。
お役にたったようであればシェアよろしくお願いします。コメントもお待ちしております。
またこちらの記事では慢性腎臓病のときのフードやおやつについても解説しています。