いろんな数字が書いてあるんだけど、それぞれどういう意味なのかな?
上記のような疑問を持つ方に向けて、分かりやすく解説していきます。
腎臓の検査
腎臓は、体にとって必要なもの(老廃物)と不要なものを選別する臓器です。
その機能は、年を取るとともに誰もが確実に衰えていきます。
腎臓の機能は「治る」ということはなく、悪くなる方向にしか進みません。
つまり治療は「治す」のではなく、「進行を遅らせていく」ことしかできないのです。
そういった意味でも、慢性腎臓病はなるべく早めに見つけることが大事ということです。
慢性腎臓病は大きく4つの段階に分けられます。
ステージ1~ステージ4という呼び方が世界的に統一されています。
家で飼っているわんちゃんが、見た目で異常だと分かるのはステージ3からです。
ですので初期段階(ステージ1~2)ではなかなか見た目ではわからないため、健康診断での検査が必要なのです。
それでは検査数値が慢性腎臓病のステージでどこにあたるのか、という目安を見ていきます。
異常値と判断されるところを太字で示しました。
※あくまで目安であり、検査機関ごとに多少の誤差もあります。
【検査数値と慢性腎臓病の進行のめやす】
ステージ1 | ステージ2 | ステージ3 | ステージ4 | |
見た目の変化 | ほぼわからない | 水をよく飲む
尿をよくする |
食欲不振など明らか | |
尿比重 | 1.030以下
だと異常 |
|||
SDMA(㎍/dl) | 14以上
だと異常 |
|||
クレアチニン(mg/dl) | ~1.4 | 1.4~2.0 | 2.1~5.0 | 5.0~ |
UPC比 | 0.5以上
だと異常 |
|||
BUN(mg/dl) | 30未満 | 30未満 | 30以上
だと異常 |
|
リン(mg/dl | 8.0未満 | 8.0未満 | 8.0以上
だと異常 |
※慢性腎臓病のステージ分けと関連が大きいのがSDMAとクレアチニン、UPCです。
尿比重、BUN、リンの検査項目については、異常値とその異常値が出る時期をざっくりとあてはめています。
検査がどういう意味を持っているのか
上記で検査項目の数値を書きましたが、検査が何を意味しているのか、をかんたんに解説します。
尿比重
尿比重はステージ1~2の初期段階から変化する数値のため、早期発見のためには重要です。
簡単に言うと「おしっこが、どれだけうすいか」というのを見ています。
尿検査の数値で判断するものです。
見た目でも尿が以前よりうすくなっているのが分かるケースもあり、自宅で「前よりおしっこがうすい気がする」と思った方は、尿検査だけでもしてもらうとよいでしょう。
【異常値のめやす】
1.030以下
SDMA
この数年で新しく使われるようになった血液検査です。
尿比重と同様に、慢性腎臓病の早期発見(ステージ1)ができるとされています。
まだ動物病院の中でもSDMAを検査項目に入れていない病院もありますが、頼めば入れてくれるはずです。
【異常値の目安】
14㎍/dl 以上
クレアチニン
「腎臓の、老廃物の選別能力(ろ過機能)がどれだけ衰えているか」の指標です。
ただしクレアチニンはステージ3にならないとなかなか上がってきませんので、クレアチニンが上がった時には、すでに症状がけっこう進んでいるということになります。
【異常値の目安】
一般的には2.0mg/dl 以上(ステージ3)
UPC比
クレアチニンと尿たんぱくの比率を見る検査です。
早期発見に有用だと考えられています。
【異常値の目安】
0.5以上
BUN
腎臓は、体にとって必要なもの(老廃物)と不要なものを選別する臓器です。(ろ過機能)
腎臓で選別されて排出されるはずだった老廃物が、どれだけ体内に残っているかを測定しているのがBUNです。
もっと簡単に言うと「体内に毒(老廃物)がどれだけ溜まっているか」を調べることができます。
【異常値の目安】
30mg/dl 以上
リン
リンは老廃物の一種で、腎臓に負担をかけます。
血液中のリンの濃度は、生存年数に影響する、ということも分かっています。(リンが高いほうがよくない)
そのリンが、どれだけ体内にあるかの指標です。
【異常値の目安】
8.0mg/dl 以上
本記事は以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!