「療法食」っていうペットフードがあるって聞いたんだけど、どんなものなの?
上記のような疑問を持つ方に向けて、ペット栄養管理士の筆者が解説していきます。
この記事でわかること
療法食とは?
一般社団法人ペットフード協会のHPによると、ペットフードには以下の4種類があります。
目的別による分類は、「総合栄養食」「間食」「療法食」、そのいずれにも該当しない「その他の目的食」に分かれます。
上記サイトにもこまかく違いが書かれていますが、まとめると以下のようになります。(分かりやすくするため、記載する順番を整理)
種類 | どんなフード? |
総合栄養食 | ペットフード公正取引協議会が定める基準を満たしており、それと水だけ与えていれば、成長や健康維持に過不足がないフード。 |
療法食 | 特定の栄養的サポートが必要な病気に際に、治療の補助として使われるフード。獣医師の指導・相談のもとで主食として使われることを想定している。 |
間食 | いわゆるおやつ。主食として使われることは想定していない。 |
その他の目的食 | 上記の3つにも該当しないもの。たとえば、ふりかけや栄養補助食品など。 |
療法食の特徴としては、特定の栄養成分を増減させつつ、主食として使えるようになっていることです。
なので、病気治療のサポートとして使うことができるのです。(=食事療法)
ただ同時に、状況によっては「別の療法食に変更、または中止したほうがいい」などの場合もあります。
それを早期に判断できるよう、「かかりつけ医が把握した状態で」使うことも大切です。
どんな種類の療法食がある?
筆者の知る限り、以下のような病気をケアする療法食が存在しています。
参考までに「どんな栄養バランスの工夫がされていることが多いか」も、併記しておきます。
病気の種類 | 栄養面での工夫例 |
慢性腎臓病 | タンパク質やリンやナトリウムを控える。 |
心臓病 | ナトリウムを控える。タウリンを増量。 |
肝臓病 | タンパク質や銅を調整。 |
関節炎 | オメガ-3脂肪酸を増量。 |
尿路系の病気(尿路結石、膀胱炎など) | マグネシウムやリン、カルシウムを控える。 |
皮膚病(食物アレルギーやアトピーなど) | 特定の原材料を使用しない。オメガ-3脂肪酸を増量。 |
消化器系の病気(膵炎、便秘など) | 消化率を高める。食物繊維の種類を工夫する。 |
内分泌系の病気(糖尿病など) | 脂質を控える。食物繊維を増量する。 |
ただ上記の工夫はあくまで一般的なもので、同じ病気に対応するフードでも、メーカーによって栄養バランスがおおきく違うこともあります。
ちなみに現状だと、一定以上の種類の療法食を販売している療法食メーカー(シリーズ)としては、以下のようなものが存在しています。
- ロイヤルカナン
- ヒルズ
- ピュリナ
- ベッツワン
- スペシフィック
- ドクターズケア
- ダイエティクス
- Dr. IDEA
- HAPPY DOG
- ファルミナ
食事療法が対応する病気や、それをつくるメーカーはどんどん変化しています。
それらをタイムリーで正確に把握することは、病院などでも難しくなっていることもあるようです。
われわれオーナー側でも療法食に関心を持って、情報に触れていく方がよさそうですね。
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療法食について、よくある質問
さいごに、療法食についての分かりにくい部分について、まとめてみました。
療法食には基準がある?
法的な基準やルール、認定制度などはありません。
各メーカーが研究や、学術論文などに準じて栄養バランスを設定しています。
よって同じ病気をケアする療法食でも、各メーカーによって考え方が違うこともあります。
主食としてつかえるの?
上述のとおり、療法食は「総合栄養食」とは別物です。
ただ各メーカーの研究によっては、長期に使えるよう研究されたものもあります。
つまり「主食として使えるものと、使えないものがある」というのことになります。
また健康なペットが食べても問題ない、とされている療法食もあります。
いつまで続けるべき?
病気の種類やステージ、ペットの年齢などにより、最適な療法食が変わることがあります。
またそもそも、主食として使えない療法食もあります。
よって一概に「〇〇まで続けた方が良い」という回答はなく、かかりつけ病院と相談して決めるのがよいでしょう。
薬と同じ?
療法食はあくまで「食事療法」の位置づけで、薬のような効果・効能を表示できるものではありません。
ただ人間の体調が食べ物で変わることもあるように、フードはペットの体に影響をあたえるものです。
またメーカーによっては、「その療法食を与えることで、どのようになったか」という研究データを発表していることもあります。
病気の予防に使える?
薬ではないことも含め、「予防の効果」を期待することはできません。
特定のケアが必要になった時につかう、ということが前提で使われます。
ただ上述の通り、健康な子が食べても問題ないとされているものもあります。