【公開日:2022年2月5日】
【更新日:2022年3月21日】

癌に効く食べ物をあげたいんだけど、なにがいいだろう?
上記のように思う方に向けて、ペット栄養管理士の筆者が記事を書きました。
この記事でわかること
犬の癌に効く食べ物はある?
まずは結論から。
特定の食べ物をたくさんあげたからと言って、癌が治ることはありません。
がっかりされるかもしれませんが、そこは必ずおさえておきたいポイントです。
わたしもリンパ腫にかかった愛犬を飼っていたことがあります。
なので「すこしでも何かしてあげたい」というオーナーさんの気持ちも十分わかります。
実際に最期を看取るときは「あれしてあけばよかった」「これしてあげれば楽だったのでは?」のオンパレードでしたから、そのような悔いを残したくない気持ちもあるでしょう。
参考記事 ↓↓ 続きを見る
犬の皮膚型リンパ腫の体験ブログ。これやっておいてよかった。
しかし基本的に癌に「完治」はありません。
なので特定の食品に過度な期待をすることはNGです。のちのちがっかりする落差も大きくなります。
現実的には「寛解」を目指していくことになります。
寛解とは
※がん細胞が最小化、または見かけ上消失した状態のこと。
ただ一方で「癌の犬に有用であることが、医学的に証明された栄養素」はいくつかあります。
そこで「有用な栄養素」と「どの食べ物にそれが多く含まれているのか」を、あわせてまとめていきたいと思います。
※以降の内容は、以下の書籍や文献を参照しています。
犬の癌に有用な栄養素と、多く含む食品
「犬の癌」と「栄養バランス」はとても深い関係があり、栄養バランスが癌の進行に関わっています。
以下の4つの栄養素が、癌の際に有用であることが分かっています。
\\ 癌の犬に有用な栄養素 //
- オメガ―3脂肪酸
- EPA、DHA
- アルギニン
- タンパク質
それぞれについて、解説していきます。(まとめの表から読みたい方は、こちら)
※記事中の「〇〇%」は、乾物量としての割合で書いています(食品中から水分を除いた後の割合)。
オメガ-3脂肪酸
まず癌細胞は、脂肪分をエネルギー源として使うことが苦手です。
一方で動物の体は、脂肪をエネルギー源として使えるので、脂肪の役割はとても重要です。
癌の犬の場合、食事中に脂肪分が25~40%入っていることが推奨されています。(一般的なペットフードには脂肪は15%~20%くらい)
そして脂肪を構成する「脂肪酸」のなかで、「オメガー3脂肪酸」には以下の役割があることが分かっています。
腫瘍の発生と転移を抑制する
具体的には、食事中にオメガ―3脂肪酸が5%以上含まれていることがよい、と考えられています。
オメガ―3脂肪酸は、以下の食べ物などに多く含まれています。
- 魚
- アマニ油
- エゴマ油
写真はイメージです
注意
オメガー6脂肪酸は逆に、がんの転移を促進してしまうことが分かっています。
名前がそっくりですので、間違えないよう注意しましょう。
オメガ―6脂肪酸は、ごま油やコーン油などに豊富に含まれます。
EPAとDHA
上記のオメガ―3脂肪酸も、こまかく分類していくことができます。
そのなかでも「EPA」と「DHA」は、癌の犬に特に有益であることが分かっています。
- 腫瘍の増殖を抑制する。
- EPAは正常細胞に影響を与えず、腫瘍細胞だけを選択的に殺す
よってオメガ―3脂肪酸の中でも、EPAとDHAを効率的に摂取できるようにするとよいです。
EPAとDHAは、犬が体内で作り出すことができないため、食べ物から取り入れることしかできません。
EPAやDHAは、青魚(の油)などに豊富に含まれています。
写真はイメージです
タンパク質
癌になると、体からエネルギーが奪われていき、やせやすい(筋肉量が落ちやすい)状態になります。それは犬の消耗を早め、QOLが低下していきます。
よって「筋肉量の低下を遅らせる」ことは、癌の犬にとって重要なポイントです。
体の筋肉はタンパク質からできているので、癌の犬はタンパク質を多めに摂取することが必要になります。
癌の犬の場合、食事中に30~45%のタンパク質が含まれていることがおすすめされています。
タンパク質は、以下のような食べ物に豊富に含まれています。
- 鶏肉
- 卵
- 大豆
写真はイメージです
アルギニン
タンパク質は「アミノ酸」が集まって作られています。
アミノ酸にも数十種類あり、どれも重要ですが、癌の犬にとって最重要ともいえるアミノ酸が「アルギニン」です。
アルギニンは癌の犬にとって、以下のような作用があると分かっているからです。
- 腫瘍の増殖や、転移率の低下が認められる
- QOLが改善し、生存期間の延長が認められる
よって癌の犬の場合、食事中に2%以上含まれていることがおすすめされています。
またアルギニンは、以下の食品などに多く含まれます。
- 大豆
- 魚(特にまぐろ)
- 卵
写真はイメージです
以上の4つが、癌の犬にとって有用である代表的な栄養素です。
注意
ちなみに癌の犬にとって有益でないのは「炭水化物」です。
がん細胞は炭水化物をエネルギー源として好むため、炭水化物が多いとがん細胞の成長につながってしまいます。
食事中の含有量は、25%以下が推奨されています。
\\ 癌の犬に有用な成分と食べ物 //
栄養素 | 食事中への推奨含有量 (水分をのぞいた後の割合) |
多く含む食べ物 |
オメガー3脂肪酸 | 5%以上 (脂肪全体では、25~40%) |
|
EPAとDHA | ー (オメガ―3に含まれる) |
|
タンパク質 | 30~45% |
|
アルギニン | 2%以上 |
|
炭水化物 | 25%以下 |
|

ただ全部の栄養バランスをいっぺんに満たすのはできなそうだから、1つ1つの食べ物をたくさんあげていってみよう!
上記のように考えるかもしれません。ただくり返しですが、1つ1つの食品が癌を治すということはありません。
与えて損をすることもないかもしれませんが、期待もできません。
なにより重要なのは「1つ1つの栄養素を気まぐれに与える」ことではなく、「すべてのバランスをまとめたものを、長期的に与える」ことです。
上記の栄養素の研究成果は、長く与えた時に判明したものだからです。
しかし「オメガ―3脂肪酸を25%以上入れて、アルギニンは2%以上にして‥・」と毎日考えながら与えるのは、多くの読者さんにとって難しい作業でしょう。
そこで参考までに、上記の栄養バランスを考えて設計された「癌の犬のためのドッグフード」を、いくつか紹介しておきたいと思います。
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癌に犬に使えるペットフード
現在、上記の栄養バランスを考えて設計された「癌の犬のためのフード」は、2つ存在しています。
- 犬心 元気キープ
- G・A・N+
また「癌の犬のために作られているわけではない」ですが、以下のフードは上述の栄養バランスに近くなっています。
- PETOKOTO FOODS
ということで、上の3つのフードを紹介していきます。
犬心 元気キープ
「犬心 元気キープ」は、(株)マッシュルームデザインスタジオが発売しているフードです。
もともとが70年以上もキノコ研究をしていた企業で、キノコの癌への有用性をドッグフードに活用したのが「犬心 元気キープ」です。
免疫維持のために、「はなびらたけ」というするキノコを使っています。
その他の原材料も「人も食べられるレベル」のナチュラル原料を使っています。
犬心 元気キープの原材料
生肉(牛、鶏、馬、魚肉)、大麦全粒粉、玄米粉、クリルCD、サツマイモ、ホエイ、魚粉、ココナッツ、ハナビラタケ、冬虫夏草、煎りゴマ、ひまわり油、グレインガム、ビール酵母、とうもろこし、乾燥おから、海藻、L-リジン、脱脂粉乳、オリゴ糖、Ca粉末、DL-メチオニン、乳酸菌群
そして肝心の栄養バランスは、以下のように設計されています。
- 低炭水化物
- 高脂肪
- オメガ―3脂肪酸増量
- タンパク質の増量
- アルギニンを増量
公式サイトより引用
これらの信頼感から、5,000頭以上の犬の使用実績があります。
「自然派で、信頼のあるフードを与えたい」と考える方に、おススメできるフードです。
ただ袋のサイズは「1.25㎏」しかなく、大型犬にはなかなか使いにくいかもしれません。
また販売は公式サイトからのみ、となっています。amazonや楽天市場では販売がありません。
しかし、「200gの無料サンプル」があるため、食べつきが心配な方にとってはメリットが大きいです。
【サンプルの入手方法】
1、トップページの「初回限定無料サンプルを申し込む」をタップ。
2、購入数を選択し、「サンプルを申し込む」をタップ。
3、必要事項を入力し、注文する。(氏名・住所・連絡先・決済法(カードor代引き))
4、初めにサンプルだけが自宅に届く。
5、商品が届く前に、メールか電話でキャンセルできる。(サンプル到着から約2週間以内に連絡)
メール:info@kinoko-design.com
※サンプルは「定期購入」「まとめ購入」を前提としたサービスで、「単品購入」ではサンプルはありません。
\\ 犬心 元気キープのまとめ //
商品名 | 犬心 元気キープ |
原材料 | 生肉(牛、鶏、馬、魚肉)、大麦全粒粉、玄米粉、クリルCD、サツマイモ、ホエイ、魚粉、ココナッツ、ハナビラタケ、冬虫夏草、煎りゴマ、ひまわり油、グレインガム、ビール酵母、とうもろこし、乾燥おから、海藻、L-リジン、脱脂粉乳、オリゴ糖、Ca粉末、DL-メチオニン、乳酸菌群 |
原産国 | 日本 |
購入方法 | 公式サイトのみ (定期購入またはまとめ購入が最安値) |
価格 | 2,950円/袋(4袋定期コースの場合) |
製造会社 | (株)マッシュルームデザインスタジオ |
メリット |
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デメリット |
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犬心 元気キープの口コミなどについては、以下の記事でもくわしくまとめています。
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【犬心・元気キープ】口コミや評判、メリットをペット栄養士が解説
続きを見る
G・A・N+
2つ目は、「 G-A-N+」です。自然の森製薬(株)から発売されています。
キノコやアガリクスなど89種類の和漢植物を使用しており、「東洋医学的なアプローチ」をするフードと言えます。
G・A・N+の原材料
生肉(鹿、牛、鶏、馬、魚)、玄米、大麦、魚粉、サツマイモ、ヤシ種皮、ローストセサミ、菜種油、ビール酵母、乳清、海藻(フコイダン)、キノコ粉末(ハナビラタケ、アガリクス、冬虫夏草、霊芝、メシマコブ、チャーガ、タモギタケ、ヤマブシタケ、カワラタケ、エリンギ、シロキクラゲ、ブナシメジ、AHCC、シイタケ菌糸体)、カルシウム,、サチャインチオイル&パウダー(耐熱性オメガ゙3脂肪酸)、アルギニン、ユーグレナ、発酵グルコサミン、オルニチン、セルロース、イヌリン、リジン、発酵野菜、スピルリナ、キャッツクロー、メチオニン、紅豆杉、 納豆菌、紫イペ(タヒボ)、紫イモ、青パパイヤ、プロポリス、秋ウコン、春ウコン、クマザサ、田七人参、高麗人参、乳酸菌群(フェカリス菌FK-23)、ツバメの巣(糖鎖)、ブルーグリーンアルジー、クコの実、カテキン、甘草、ノニ、タヒボ、当帰の葉、ヒハツ、ガジュツ、吉野葛、紅花、桂皮、ヨクイニン、キバナオウギ、ドクダミ、大麦若葉、ギムネマ、サラシア、カミツレ、萊服子、陳皮、スギナ、ナツシロギク、ウイキョウ、菊芋、マタタビ、ヨモギ
※これら鹿肉などの原材料を、低温低圧製法で調理しているため、おいしさが凝縮された状態になっています。
肝心の栄養バランスですが、上述した栄養バランスをそのまま使用した設計になっています。
公式サイトより
現役の獣医師が開発したフードであり、信頼性もあります。
原材料の独自性などから見ても、「いろいろなフードを試したが、いまいち納得していない」という時に使ってみるのがおススメです。
ただ袋のサイズが「1㎏」のみとなっており、中型犬以上はコストが高くなりがちです。
実際の価格も、3,300円/袋~(公式サイトで、6袋の定期購入の場合)と、犬心元気キープより割高です。
また楽天市場でも出品がありますが、公式サイトより割高になっています。
しかしG・A・N+も50gの無料サンプルがあり、食べなかった際には返金されます。
【サンプルの入手方法】
1、トップページから、希望の数量をえらび「買い物かごに入れる」をタップ。
2、会員登録をする(氏名、住所、連絡先、生年月日、パスワード)
3、配送方法と決済方法を選ぶ(カード、NP後払い、代引き)
4、サンプルと商品が届く
5、食べなかったらメーカーに連絡し、返金手続きをする
連絡先:0120-408-101
※サンプルは「定期購入」を前提としたサービスで、「単品購入」ではサンプルはありません。
\\ G・A・N+のまとめ //
商品名 | G・A・N+ |
原材料 | 生肉(鹿、牛、鶏、馬、魚)、玄米、大麦、魚粉、サツマイモ、ヤシ種皮、ローストセサミ、菜種油、ビール酵母、乳清、海藻(フコイダン)、キノコ粉末(ハナビラタケ、アガリクス、冬虫夏草、霊芝、メシマコブ、チャーガ、タモギタケ、ヤマブシタケ、カワラタケ、エリンギ、シロキクラゲ、ブナシメジ、AHCC、シイタケ菌糸体)、カルシウム,、サチャインチオイル&パウダー(耐熱性オメガ゙3脂肪酸)、アルギニン、ユーグレナ、発酵グルコサミン、オルニチン、セルロース、イヌリン、リジン、発酵野菜、スピルリナ、キャッツクロー、メチオニン、紅豆杉、 納豆菌、紫イペ(タヒボ)、紫イモ、青パパイヤ、プロポリス、秋ウコン、春ウコン、クマザサ、田七人参、高麗人参、乳酸菌群(フェカリス菌FK-23)、ツバメの巣(糖鎖)、ブルーグリーンアルジー、クコの実、カテキン、甘草、ノニ、タヒボ、当帰の葉、ヒハツ、ガジュツ、吉野葛、紅花、桂皮、ヨクイニン、キバナオウギ、ドクダミ、大麦若葉、ギムネマ、サラシア、カミツレ、萊服子、陳皮、スギナ、ナツシロギク、ウイキョウ、菊芋、マタタビ、ヨモギ |
原産国 | 日本 |
購入方法 | 公式サイト |
価格 | 3,000円/袋~(6袋定期コースの場合) |
製造会社 | 自然の森製薬(株) |
メリット |
|
デメリット |
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PETOKOTO FOODS
PETOKOTO FOODS(以下、ペトコト)は、(株)PETOKOTOが販売しています。
ペトコトは「手作りドッグフード」をコンセプトにした、ウェットタイプのフードです。
以下4つの基本タイプをベースにし、10問の無料診断をすることにより「与える量」などをカスタマイズしてくれます。
- ビーフ
- チキン
- ポーク
- フィッシュ
この中で癌対応の栄養バランスに近いものは「チキン」です。
栄養バランスを比較してみます。
癌の犬の推奨 | ペトコト | |
オメガ―3脂肪酸 | 5%以上 | 3% |
タンパク質 | 30~45% | 44% |
アルギニン | 2%以上 | 非公表 |
炭水化物 | 25%以下 | 27% |
すべて満たしているわけでありませんが、栄養バランスは近いことが分かります。
ただくり返しですが、「癌に対応するために」作られたものではなく、あくまで健康な犬のために作られています。
ウェットタイプということもあり、食べつきは良いので、「他のフードを何も食べない時の、最後の選択肢」として考えるほうがいいでしょう。
購入は公式サイトからのみ可能です。
1袋150gですが、体重などを10項目を入力する無料診断をもとに、配送プランなどが変わります。
ざっくりと「1食300円くらい~」と考えればよいでしょう。
\\ ペトコトのまとめ //
商品名 | PETOKOTO FOODS |
原材料 | 鶏肉、さつまいも、にんじん、卵、小松菜、すりごま、亜麻仁オイル、フィッシュオイル、ミネラル類(カルシウム、リン、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、コリン)、ビタミン類(B1、B2、B12、C、D、E、葉酸、パントテン酸) |
原産国 | 日本 |
購入方法 | 公式サイト |
価格 | 約300円/食~(ペットの情報により異なる) |
販売会社 | (株)PETOKOTO |
メリット |
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デメリット |
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「犬の癌に効く食べ物」についての記事は、以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!