【2020年2月22日】

だから使ってないペットフードがいいんだよね?
ネット上や、友達のウワサでは「酸化防止剤 = よくないもの」というイメージをもつことが多いですが、一体なぜネガティブな印象があるのでしょうか?
ちなみに私は「ペットフードの酸化防止剤はありがたいもの」と考えています。
ペット栄養管理士の筆者が、やさしく解説していきます。
記事のまとめ
- 酸化防止剤は身の回りにあふれている
- 酸化防止剤が必ずしも危険とは言えない
- 「危険な?」酸化防止剤を使ったフードは3割。
ペットフードに使われる酸化防止剤

この質問にしっかりと回答できますか?
意外に答えられないのではないでしょうか?
酸化防止剤は
開封後も保存ができるようにするため
に使われています。
酸化は「フードの脂肪分が、空気にさらされて傷む」という現象です。
脂肪は空気中の酸素にさらされると、状態が劣化します。
それを食べることにより、嘔吐や下痢を起こすことがあります。

それが「酸化した脂肪を摂取したことによる下痢」です。
ペットにも同じことが起こり得ます。
つまりペットフードの酸化防止剤は、「開封後の脂肪の劣化で、体調を崩さないようにする」という意味があります。
また保存しやすくなることで、「飼い主さんがフードを気軽に使うことができる」というメリットも生み出しています。
「保存ができないフード」しかなかったら、とても面倒ですし、お金もかかってしまいますからね。
なので私は「酸化防止剤=ありがたいもの」と考えています。
メモ
ちなみに「人間の食べ物や、使う物」にも、酸化防止剤はよく使われています。
ベーコンにも使われる
口紅にも使われる
現在の日本でペットフードによく使われる酸化防止剤には、以下のようなものがあります。
- ミックストコフェロール
- ローズマリー抽出物
- 緑茶抽出物
- クエン酸
- BHA
- BHT
- エトキシキン
ペットフードの酸化防止剤は危険?
ペットフードで危険と言われる酸化防止剤は、上記の5~7です。
- BHA
- BHT
- エトキシキン
これらは「ペットフードに使える上限量」がペットフード安全法で定められています。
- 3種類合わせて150ppmまで
- エトキシキン単体では75ppmまで
上限量が決まっている理由は以下の通りです。
- BHAを多量に摂取すると、ラットで胃がんのリスクをあげる
- BHTを多量に摂取すると、下痢をすることがある
- エトキシキンを多量に摂取すると腎臓に悪影響がある
こういった背景があるため、「BHA・BHT・エトキシキン=危険」というイメージがついているのです。
ただこれらはの酸化防止剤は上限が決まっているのも事実ですが、「規定量以下なら安全」ということも分かっています。
なので不必要に怖がらなくてもいい、というのが私の見解です。
実際にドライフードに使われる量は微量だからです。
もしそれでも心配であれば、BHA・BHT・エトキシキンといった「人工の酸化防止剤を使っていないフード」を使えばいいと思います。
メモ
保存を前提にしているので、ドライフードには酸化防止剤がほぼ必ず使われます。
なので酸化防止剤0のドライフードを使うことは非現実的です。
ただ缶詰やパウチには酸化防止剤が使われていないことがほとんどです。
なぜなら缶詰やパウチは短期間で使い切る(=長い間、空気に触れることがない)ことを前提にしているからです。
有名ペットフード・24種類の酸化防止剤を調べてみた
ということで私自身は酸化防止剤の種類に大きなこだわりはないのですが、「有名なペットフードがどんな酸化防止剤を使っているのか」を調べてみました。
市販で売っているもののみですが、よろしければ参考にしてみてください。
ドッグフード・キャットフードをあわせて掲載しています。
【自然の酸化防止剤のみ】
ブランド名 | 使用している酸化防止剤 |
サイエンスダイエット | ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物 |
ニュートロ | ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、クエン酸 |
シュプレモ | ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、クエン酸 |
ユカヌバ | ミックストコフェロール、ローズマリーエキス |
和の究み | ローズマリー抽出物 |
JPスタイル | ローズマリー抽出物 |
ランミール | ローズマリー抽出物 |
プロプラン | ミックストコフェロール |
ピュリナワン | ミックストコフェロール |
ビューティプロ | ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物 |
コンボ | ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物 |
ビタワン | ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物 |
懐石 | ローズマリー抽出物 |
キャラット | ローズマリー抽出物 |
銀のスプーン | ミックストコフェロール、ハーブエキス |
ねこ元気 | ミックストコフェロール、ハーブエキス |
【人工の酸化防止剤あり】
ブランド名 | 使用している酸化防止剤 |
ロイヤルカナン | BHA、没食指酸プロピル |
ペディクリー | BHA、BHT |
シーバ | BHA、BHT、クエン酸 |
カルカン | BHA、BHT、クエン酸 |
グラン・デリ | エリソルビン酸Na、ミックストコフェロール、ハーブエキス |
ベストバランス | エリソルビン酸Na、ミックストコフェロール、ハーブエキス |
プロマネージ | ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、BHA、BHT、クエン酸 |
アイムス | BHA、BHT、クエン酸 |
※ブランド内で主に使われている酸化防止剤を掲載しています。
※タイミングやリニューアルで変更になる可能性があります。
簡単にまとめると、
- 自然の酸化防止剤を使ったフードが16種類(67%)
- 人工の酸化防止剤を使ったフードが8種類(33%)
という結果ですね。
ペットフードに使われる酸化防止剤についての記事は以上となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!