こんにちは!
ピー子センパイです。

犬の飼い主さんであれば、上記のような説を聞いたことがある方もいるかもしれません。
この「犬に肉ばかり与えると骨が溶ける説」について、ペット栄養管理士歴10年以上のピー子が解説させていただきます!
犬に肉を与えすぎると、骨が溶ける可能性がある
まず結論から書くと、犬に肉ばかり与えていると骨が溶ける可能性があります。
また骨だけでなく、歯も溶けていく可能性があります。
これはどういったことなのでしょうか?
カルシウムとリンはお互いに影響しあう存在なのですが、体内(血中)ではカルシウムとリンが同じくらいの量存在してバランスを取り合っています。
そして肉にはリンが豊富に含まれています。
ということは
肉ばかり食べる=リンを過剰に摂取する
ということになります。
そうすると体内では
「リンが血液中に増えた!カルシウムも増やさなきゃ!」
という指令が下り、「カルシウムの貯蔵庫」である骨や歯からカルシウムを運びだすようになってしまいます。
これが「肉ばかり食べすぎると骨や歯が溶けてしまう」仕組みです。
この状態は病気でもあり、上皮小体機能亢進症とも呼ばれます。
💡おまけ
人間でも「コーラを飲みすぎると歯が溶ける」という説があります。
これも上記と全く同じ原理で、コーラにはリンが豊富に含まれているからです。
なのでこの「コーラの飲みすぎで歯が溶ける説」もあり得ない話ではありません。
またリンの摂りすぎは上記の説以外にも、以下のような病気につながったり、悪化させることがあります。
✅リンの過剰が関連する病気
- 慢性腎臓病
- ストルバイト尿石
詳しくはこちらの記事も読んでみてください。
リンの多い食品
つまり正確には「肉を食べすぎると骨が溶ける」でなく、「リンを摂取しすぎると骨が溶ける」と考えるべきですね。

この話だけでいうとリンが悪者に見えてしまいますが、リンは体にとって非常に大切な役割も果たしています。
✅リンの役割
- 骨格を作る
- 遺伝子配列の一部を担っている
- 細胞膜の一部を担っている
実際にリンが欠乏すると発育が遅れたりすることもあります。
なのであくまでリンを過剰に摂ることがよくない、ということです。
ちなみにリンの多い食品には以下のようなものがあります。
比較対象としてキャベツも載せてみます。
食品 | リン(mg) |
プロセスチーズ | 730 |
卵黄 | 570 |
しらす | 470 |
ロースハム | 340 |
ささみ | 200 |
豚肉 | 180 |
牛肉 | 150 |
キャベツ | 27 |
※食品成分データベースより。
※100gあたりのリンの量を記載。
肉類だけではなく、チーズやシラスにもリンが多く含まれることが分かります。
犬は肉食動物ではない
この「肉を与えすぎると骨が溶ける説」は、そもそも「犬は肉食だから肉中心の生活がいいんだ」という考えが広がったことにより知られてきた説です。
今回の解説からも分かっていただけたかと思いますが、犬に肉中心の食生活をさせるのはとても危険です。
そもそも犬の食性は肉食ではなく雑食です。(たしかに肉食性はやや強いですが)
これは歴史でも証明されており、犬の祖先も野菜や果物類を食べていたことが分かっています。
ちなみにこれに類似した話として「犬は穀物を消化できないからグレインフリーのフードを与えるべきだ」とグレインフリーフードを作っているメーカーは言っていますが、これも危険です。
昨年「グレインフリーのドッグフードは犬の心臓病と関連がある」ということを、アメリカのFDAが公式発表しているからです。
イメージではなく、事実を確認してフード選びやおやつ選びはしたいものですね。
以上、犬の飼い主さんたちのお役に立つとうれしいです!