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こんにちは!
ペット栄養管理士のかむかむです。



犬でも血液ドロドロになってしまう高脂血症という病気があります。
しかもそれは思った以上に身近な病気です。
今日は高脂血症について解説していきます。
犬の高脂血症とは
高脂血症というとややこしい感じですが、身近な言葉で言い換えると「血液ドロドロ」の状態を指します。
血液中の中にも脂肪分が存在しているのですが、その割合が高くなるとドロドロの状態になります。ひどいと血液が白く濁って見えることもあります。こんな感じです。
血液中の脂肪は「トリグリセリド」「コレステロール」の2つが代表的です。それぞれが以下の数値以上だと「高脂血症」と診断されます。
血中脂肪 | 高脂血症のライン |
トリグリセリド(中性脂肪) | 150mg/dl以上 |
コレステロール | 275mg/dl以上 |
※高脂血症ラインは検査機械などによって多少違うことがあります。
高脂血症は人では動脈硬化の原因になることが知られていますが、犬の場合は動脈硬化はないといわれており、その点は心配いりません。
ただし、犬が高脂血症になると「膵炎」のリスクが上昇することが分かっています。
犬の膵炎についてはこちらの記事でも解説しています。
動物病院でも「症状はないからとりあえず様子見で」という先生もいますが、 万全を期すのであれば治療を行うのがおすすめです。
高脂血症の場合は食事療法を行うことがほとんどで、「超低脂肪フード」を使います。
仮に健康な犬が長期的に食べても問題ない安全な超低脂肪フードもあります。代表的な2つのフードを解説した記事がこちらです。
【実験動画あり】消化器サポート低脂肪とi/dローファットを比較
高脂血症の原因
高脂血症の原因は以下のものが考えられています。
高脂血症の原因
脂肪分の多いもの
犬種
脂質代謝異常症
脂肪分の多いもの
ドッグフードでも「総合栄養食でないもの」や「おやつ」は特段健康に配慮した栄養バランスになっていないため、脂肪分が多い傾向にあります。
私が見ている中ではペット用のチーズがもっとも身近な脂肪分の高いものです。
普段から脂肪分の多いものを与えて高脂血症になっているのであれば、そのような食べ物をやめるだけでも改善する可能性があります。
注意ポイント
脂肪分の多いものを与えていなかったとしても、食後に血液検査をすると血液中の脂肪の数字が高く出やすいです。
高脂血症の検査は約半日(12時間)絶食した後の血液検査をすることが必要です。
犬種
遺伝的に高脂血症になりやすい犬種というのが分かっています。
高脂血症になりやすい犬種
ミニチュア・シュナウザー
トイ・プードル
シェットランドシープドッグ
これらの犬種は明らかに高脂血症が多いです。
1歳以降になったら低脂肪フードを与えておくなどすると安心ですね。
脂質代謝異常症
人間でいう「メタボリック・シンドローム」のようなものです。体の中で脂肪を消費する能力がなぜか低い状態のため、血液中に脂肪が高くなりやすくなります。
脂質代謝異常症になると高脂血症だけでなく、糖尿病やクッシング病などのリスクも上がると考えられています。
また身近なところだと、「おやつもあげていない」「ダイエットフードをきちんと量を測っているのにやせない」時もこの病気の可能性があります。こういったときは薬で治療をする必要があります。
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高脂血症の治療
まずは「超低脂肪フード」による食事療法を行い、それでも改善が見られなければ薬を使うことが多いです。
ポイント
脂肪分10%以下(乾物量表示)のものが超低脂肪といえます。身の回りのフードだとなかなか10%を切るフードは少ないです。
上のリンクでも紹介しましたが、こちらの2つは病院でも使われる超低脂肪フードの代表です。これを主食として1か月程度で改善がみられることが多いです。
また実績という意味ではこちらの2つより少ないですが、こちらのフードは上の2つの商品よりも脂肪分が低いです。上2つでも改善しないときに試してみる価値はあると思います。もちろん長期で食べさせても問題ありません。
またオメガ―3脂肪酸を与えると高脂血症の改善が期待できるという報告もあります。私が知る限りオメガ―3脂肪酸がもっとも豊富なサプリメントはこちらです。
いかがだったでしょうか。
人間でも血液ドロドロを早期に治療することが健康を保つうえでも重要であるということが分かっています。もしわんちゃんに血液ドロドロが見つかってもまずはできることからやってみましょう。
以上、高脂血症のワンちゃんを飼う方のお役に立てばうれしいです。