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こんにちは。
ペット業界10年で専門家1000人以上と仕事をしてきたピー子センパイです。




犬の認知症はなってみないと理解できない点も多いですし、
なってからも漠然とした不安が膨らみやすいです。
ということで今回は
どちらの方にとっても分かりやすい記事を書いていきたいと思います。
この記事でわかること
犬の認知症の症状
犬の認知症は正式には「認知機能障害症候群」と言われます。
ただ読みづらいのでこの記事では「認知症」と呼んでいきます。
犬の認知症は大きく4つの症状を見せます。
4つの頭文字をとって「DISH」と呼ばれることもあります。
見当識障害(Disorientation)
物事の見当がつけられなくなる、という状態です。
具体例
- いつもの散歩コースで迷う。
- 家の中のおもちゃのありかが分からなくなる。
- よく壁にぶつかるようになる
関わり方の変化(Interaction changes)
飼い主さんや仲の良かった他の犬とのかかわり方に変化が出てくるものです。
犬の認知症の中でもっとも飼い主さんが悲しさを覚える症状かもしれません。
具体例
- 飼い主さんのことを忘れてしまったかのような行動をとる。
- 玄関まで出迎えに来てくれていたのが来なくなる。
- よく遊んでいた他の犬と遊ばなくなる
睡眠の変化(Sleep or actibity changes)
犬の認知症では睡眠の周期が変化しやすいです。
この症状は犬の認知症の中でもっとも飼い主さんのストレスがたまりやすいものです。
具体例
- 昼間はずっと寝ているのに、夜になると起きだす。
- 夜の徘徊や夜鳴きをする。
排泄の失敗(House training is forgotten)
これはそのままですね。
きちんとトイレで排泄をできていたのができなくなることです。
ポイント
犬の認知症は「単に年をとっただけだ」と思われて
初期段階ではなかなか病院に連れて行かないケースもあります。
ただ初期段階で治療を開始できたほうが予後がよくなります。
ですので1つでも症状があったらまず病院に連れていきましょう。
犬の認知症は治るのか?
基本的に認知症の症状は時間の経過とともに悪化していくことが多いです。
完治することはなく、症状を緩和していくという治療がメインになります。
犬の認知症の発生率
上に書いた症状のうち、少なくとも1つの症状を発症している割合は
11-12歳の犬の約28%
15-16歳の犬の約68%
であるという研究があります。
ちなみに猫でも認知症は存在し、同じくらいの発生があるといわれています。
少し古いデータになりますが、
2000年代前半に認知症の犬種ランキングが発表されています。
1位 | 柴犬 |
2位 | 柴犬の雑種 |
3位 | 雑種 |
4位 | 日本犬 |
5位 | 日本犬の雑種 |
6位 | マルチーズ |
7位 | シェルティー |
8位 | プードル |
9位 | ヨークシャーテリア |
10位 | ビーグル |
犬の認知症の原因
日本では柴犬が認知症が多い犬種ですが、遺伝的な要因があるかはわかっていません。
いくつかの原因が認知症の発生にかかわっていると考えられています。
神経細胞のダメージ
脳は無数の神経細胞が存在しています。
脳の神経細胞が活性酸素などからダメージを受け、そのダメージが年齢とともに蓄積されていきます。
結果として神経伝達がうまくいかなくなって認知症につながると考えられています。
神経に毒性を及ぼすものがたまる
ベータアミロイドといわれるものが代表です。
これは脳の神経細胞に毒性を及ぼすことが分かっており、
犬の認知症ではベータアミロイドが脳内に沈着してしまっています。
脳の血流低下
犬の認知症では脳の血流が悪くなっていることも分かっています。
血液は酸素や栄養素を運んでいます。
血流が悪くなることで酸素や栄養が不足し、脳の神経細胞にダメージが加わるのかもしれません。
犬の認知症の治療
犬の認知症の治療方法は進行の程度や獣医師により多少異なりますが、
効果があると考えられている治療は以下の通りです。
薬
塩酸セレギリン、塩酸ドネペジル、セロトニン取り込み阻害薬などが使われます。
また夜泣きがある際には睡眠導入剤が使われたり、
病院によっては抑肝散という漢方を使うこともあります。
栄養
ビタミンE、ビタミンC
「活性酸素」によって脳の神経細胞はダメージをうけます。
活性酸素を減らしてくれるのがビタミンE、ビタミンCです。
オメガ-3脂肪酸
オメガー3脂肪酸は脳の血流を増加させてくれます。
よく聞くEPA、DHAはオメガ-3脂肪酸の一種です。
これらはサプリメントやフードで与えていくことが可能です。
栄養面の改善で実際に夜泣きが1か月程度で改善したという例も多数あります。
脳と体の刺激
知育玩具やトレーニングで脳を刺激すること、
散歩などの運動(体の刺激)をさせて脳を刺激することも重要だと言われています。
安全な範囲でこれらを続けていきましょう。
環境のケア
大きな環境の変化は認知症を悪化させる可能性があるといわれます。
家具の配置変更や、ほかのペットの受け入れなどは避けましょう。
また認知症により歩行がおぼつかないケースでは、床のすべり止めなどの安全面に配慮することも必要です。
老犬ホーム
老犬ホームは環境のケアを考える意味はもちろん、
オーナー様の精神的な疲労の軽減にも役立ちますし、同じような境遇の方と出会えるかもしれません。
いかがだったでしょうか。
こちらの記事が少しでも認知症を知っていただくお役に立てば幸いです。
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