
TheDigitalArtist / Pixabay
こんにちは!ピー子センパイです。
こちらの記事ではペットのアレルギーの概要やアレルギー検査の意味について記載しました。
アレルギーにも「食物アレルギー」と「環境アレルギー」がありましたが、今日はそのうち「食物アレルギー」について、どこよりも分かりやすく深堀していきたいと思います。
私はペット栄養管理士ということもあり、食べ物にかかわるにこのジャンルについてもかなり正しい知識をお伝えできることを保証します!
食物アレルギーの確率は?

geralt / Pixabay
上のリンクの記事でも書きましたが、そもそもアレルギーとは以下のような状態でした。
「悪くない者をメンエキさんが間違って追い出そうとしてしまう」
「そこまで害のないものをメンエキさんが過剰に追い出そうとしてしまう」
普通の食べ物を悪いものだと認識してしまう、過剰に追い出そうとしてしまうということはそもそもそんなにあることなのでしょうか?
答えは「NO」です。
食物アレルギーの発症率は「ペットの皮膚病のうちの5%~10%」と言われています。
「日本にいる犬猫全体の5%~10%」ではありませんよ、「皮膚病の中の5%~10%」です。

生きていくために不可欠な食べ物を排除してしまうというのは、犬猫にとっても得をすることは何もありません。
かなり珍しい病気だと考えた方がいいです。
メモ
ただし、そのほかの皮膚病と合併して食物アレルギーが関連している可能性こともあります。
これだともう少し発症率は高いと考えられています。
食物アレルギーの原因は?

GraphicMama-team / Pixabay
人では食物アレルギーの原因は「卵」が最も多いと言われています。
日本にいる犬・猫だと「チキン」が多いという報告があります(ただ上で書いたようにそもそもかなり少ない病気です)。
そういった場合は「卵アレルギー」「チキンアレルギー」と言われることになりますが、その食材の中の「どの成分」がアレルギー反応を起こすのでしょうか?
アレルギー反応を起こす可能性があるのは「タンパク質」です。
タンパク質以外の栄養素はアレルギー反応を起こすことはありません。
✅ポイント
1つの食品には複数の栄養が含まれています。
例)チキン(鶏肉)にもタンパク質や脂肪、ビタミンなど複数の栄養素が入っています。
チキンアレルギーなら「チキンのタンパク質」がアレルギー反応の原因ということです。
食物アレルギーの対応方法
上の仕組みを踏まえ、現状できる根本的な対応はこの2つしかありません。
①アレルギーを起こしている食材のタンパク質を避けたフードを選ぶ
②アレルギー反応を起こさないようにタンパク質に処理(※)をしたフードを選ぶ
※加水分解処理といいます
①でもっともよく動物病院で使われるのがこちらのフードです。
七面鳥とタピオカという2つの珍しい食材を使っており、アレルギー反応のリスクが低いフードです。
②でもっともよく使われるのはこちらのフードです。
日本に存在するドッグフードの中で、もっとも加水分解処理のレベルが高いフードです。つまりもっとも食物アレルギーを起こす確率が低いフードともいえます。
✅プチ情報
獣医師でも食物アレルギーの治療に関して詳しくない人もたくさんいます。
人の病院のように皮膚科や小児科などと専門を分けて診療していないことが多いからです。
ただ獣医療でも皮膚科の診療に精通している「皮膚科認定医」という資格があります。
参考までに皮膚科認定医のリストのリンクを貼っておきますので、通院の際の参考にしてみてください。
※こちらは動物病院の名前は載っていません。獣医師名で検索をかけて動物病院を探すことが必要です。
食物アレルギーかどうかを判定する
順番が前後しますが、一番上のリンクの記事で「アレルギー検査はあまり意義がない」ということを書きました。

そうではありません。
もっとも正確に食物アレルギーを診断するには「除去食試験」というものを行います。こちらは動物病院の指示に従って行います。
除去食試験の簡単な概要は以下の通りです。
- ステップ1
加水分解されたフード(上記の②)を1,2か月使い、症状が消えるかを確認する。
⇒症状が改善しなければ食事アレルギーの可能性は低い。改善すれば食事アレルギーの可能性が高い
- ステップ2
ステップ1で症状が改善したら、次にアレルギーを起こすと考えられる食材を摂取させ、症状が出るかどうか確認する。
⇒症状が出たらその食材がアレルギーの原因だと判定される。症状が出なければ他の食材で同じことを試していきます。

と思われるかもしれませんが、上記の2ステップが世界基準での犬猫のアレルギーかどうかの判定方法です。
どちらにしても治療はアレルギー用のフードを使うことになりますから、絶対にやらなければいけないものではありません。
ただどうしてもアレルギーの原因をつきとめたいんだ!ということであればこの方法を使うのが確実です。
いかがだったでしょうか?
ネットやSNS上ではいろんなメーカーが「アレルギー用○○」を売りたいがために、オーナーさんをあおるような記事や誤った記事がたくさんあります。
皆さんが間違った記事を信じ、飼っているわんちゃん・猫ちゃんを苦痛にさらすことのないよう、この記事が少しでもお役にたてば幸いです。